ミュージシャンのサクセスストーリー映画『ガリー・ボーイ』

インド、ムンバイのスラム街の青年がラップミュージックに目覚め、やがてコンテストに優勝して成長していくストーリーは、アメリカ映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』とほとんど同じといっていい。『ストレイト・アウタ・コンプトン』は実在の人気ラッ…

場末感漂う成田空港第3ターミナル

今回初めて成田空港第3ターミナルを使用した。2015年4月に開業したそうだが、いやびっくりしましたねえ。何がって、その場末感いっぱいな雰囲気に。これが天下の成田空港のターミナルなの?って感じ。 LCC専用ターミナルだからこんなもんでいいんじゃないの?…

アジアハンター小林真樹『日本の中のインド亜大陸食紀行』(阿佐ヶ谷書院)を読む

希有な本が小さな出版社から刊行された。日本でインド亜大陸の食文化を追求しようという本だ。それだけ書くと、日本にあるインドレストランのガイドブックかと思ってしまうが、この本に書かれているのは、一般的なレストランに加え、普通の日本人ではまず発…

北澤豊雄『ダリエン地峡決死行』を読む

旅行者の間でよく知られる国境の難所がある。なかでも最も渡るのが難しいとされるのが、パナマとコロンビアの国境だ。国境地帯はジャングルで、もちろん交通機関はなく、猛獣もいれば武装ゲリラもいる。ここを陸路で渡ろうとする普通の旅行者はまずいないの…

インド先住民アートの村へ~ハザリバーグ画について

去年の11月にインドのジャールカンド州へ先住民の家の土壁に描かれた絵を見にいって、今年の2月から3回、それについてのトークイベントや展示会を重ねてきた。次の5月18日に福岡アジア美術館でトークイベントをやり、5月24~26日に早稲田奉仕園でシリーズ最…

『ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる』

『ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる』というドキュメント映画を観てきた。 ユーリー・ノルシュテインはファンの方には言わずと知れたロシアアニメーション界の巨匠だが、そのノルシュテインが取り組んでいるのがゴーゴリの名作『外套』のアニメ化だ…

インドでスマホを使う

旅の準備でデジタル機器について書いたので、今回はその結果をご報告したい。 インドに着いて、すぐにSIMカードを購入した。Vodafonのカードでインド全国をカバーする。28日間有効で、データ通信は1日1GB、会話は無制限で600ルピー(約1000円)だからかなり…

ジャールカンドへ壁画を探しに

今回旅したのは、インドのジャールカンド州だ。そういっても、有名な観光地など何一つなく、ガイドブックにもまったく情報がないので、ほとんどの人はどこだかわからないだろうが、インド北部のビハール州から2000年に独立した比較的新しい州である。 なぜこ…

旅の準備

ひさしぶりに旅に出るので、ここ数日はその準備に追われていた。そんなにたいしたことじゃないんだけど、カメラ、コンピュータ、スマホなどのセッティングが慣れていないのでちょっと厄介だった。 まずカメラ。 新しく買ったコンパクトカメラがあって(前の…

『ガンジスに還る』

17:44 試写の案内が来てタイトルを見たとき、深刻で重そうな映画かなと思って試写室に足を運んだ。たぶんバラナシで死を迎え、ガンジス川に遺灰が流されていく宗教的なテーマの映画かも、とかなんとか思いつつ映画を見始めたのだが、これはいい方に見当外れ…

ポジフィルムのデジタル化に挑む(2)

レンズの前にスライドアダプターを装着 買いそろえたマクロレンズとスライドアダプターをカメラに装着し、いよいよ撮影を開始する。今度はちゃんとピントが合って、ファインダーにはっきりと画像が見える。よしよし。 普通はオートモードにしてシャッターを…

ポジフィルムのデジタル化に挑む(1)

ヒマを見ては、せっせと古いポジフィルムをスキャンしていた。うちにあるのはフラットベッドのスキャナーで、普段は紙類をスキャンする機械だが、アダプターを使えば一応ポジもスキャンできる。これまではこれでやっていたのだが、スキャンに非常に時間がか…

蔵前仁一インドトーク インド先住民アートの村へ

ひさしぶりの関西巡業で京都へ参ります。 インドの田舎の村々へ、先住民アーディバシーの壁画を求めて旅をした様子と、そのときに撮影したレアな壁画やペインティングの数々をご紹介いたします。ミティラー画、ピトラ画、ミーナー画、ワルリー画、ゴンド画な…

新刊『テキトーだって旅に出られる!』

去年から書いていた本が、ようやく4月25日の発売までこぎ着けた。ほぼ書き下ろしだが、以前雑誌に書いた原稿を引っ張り出して、大幅に修正や加筆を加えたパートもある。 産業編集センターという出版社から執筆の依頼を受けたのだが、注文は「旅に出たくなる…

世界を変える美しい本

2017年もいよいよ押し詰まってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 今年は「ゴーゴー・インド30年」イベントのせいで、例年になく忙しい一年だった。考えてみれば、今年はどこにも海外旅行に行かなかったが、それを感じさせないぐらい気忙しい年だっ…

インドのカレーは辛いのか?

FACEBOOKやツイッターで「インドを旅した方で、インドのカレーは辛かったですか?」という質問をしました。ご協力くださった方が、ありがとうございました。 なぜ唐突にこんな質問をしたかというと、今、来年出す予定のエッセイを書いているところで、インド…

ゴーゴー・インド30年のイベントを終えて(2)物販部門

会場費+運営費のメドは立ったが、利益が出るのは物販にかかっている。そういうわけで、半年間、僕は一心不乱にグッズおよび本をつくりつづけた。一応グラフィックデザイナーである僕は、本や雑誌のデザインはいつもやっているが、トートバッグやTシャツのデ…

ゴーゴー・インド30年のイベントを終えて(1)会場の問題

今年の3月頃だったか、「『ゴーゴー・インド』が出てからちょうど30年になるから、なにか記念イベントを開きましょうよ」と前原利行さんに提案された。いまどき前原と聞けば民進党の党首だが、利行さんのほうは「旅行人ノート」や「地球の歩き方」などを手が…

小さな出版社の可能性3

以前に矢萩多聞さんがいっていた、「小商い」出版とは、簡単に言えば売れる数しか部数をつくらないというやり方だ。きわめて単純なこの方法がこれまで不可能だったのは、印刷コストのせいだ。前々回に書いたことなので詳しくは繰り返さないが、部数が少ない…

小さな出版社の可能性2

「ゴーゴー・インド30年」イベントの準備もようやく峠を越え、チラシやポスターを作って配り、さまざまなグッズをつくり、イラストを額に入れてそれぞれのタイトルをつくり、といったもろもろのことをようやく完了した。それに「旅行人」を1号だけ復刊させ、…

小さな出版社の可能性

5月20日に日本橋で行なわれた「本との土曜日」に参加した。これはインド関係の本やグッズを売る小さな市のような企画だった。僕は版元として出店したが、著者、書店として参加した方々もいた。 そこで、『持ち帰りたいインド: KAILASとめぐる雑貨と暮らしの…

最悪の宿

今日も机周りや本棚を整理している。 引き出しに入っていた写真の束から、はらりとこの写真が出てきた。思い出すのもおぞましい宿の写真だ。たしか1990年ごろだったのではないかと思う。ネパールからスナウリ国境を越えてインドへ入ったときだ。国境に到着し…

アフリカの賄賂『グッドマン・イン・アフリカ』

事務所の整理をしていて、昔書いた原稿がいろいろと出てきた。雑誌やPR誌に書きっぱなしで単行本に再録していないものが多いので、前回に引き続きブログに掲載することにした。 この原稿は、1995年に上映された『グッドマン・イン・アフリカ』という映画のパ…

旅先での「選択」の先にある運命

12年も前に、新潮社の『波』という雑誌に書いた書評をブログに掲載する。『「バンコク・ヒルトン」という地獄 ― 女囚サンドラの告白』(サンドラ・グレゴリー著/川島めぐみ訳/新潮社)という本だ。 なんでいまさらと思うが、大掃除していてこの『波』が出…

インド旅行のインターネット事情(2)モバイル機器

今のスマホやタブレットは、Wi-Fiがないオフライン状態でも、機器に内蔵されたGPSによって地図上に自分の位置が示されることを前の旅行で教わった。それを試してみたくて、今回のインド旅行では中古のスマホ(中古のアンドロイド端末で9000円ぐらい)を購入…

インド旅行のインターネット事情(1)Wi-Fi

最近は(というかここ10年ぐらいで)世界各地の安宿で、フリーWi-Fiがホテルの必須設備となっているのは皆さんもよくご存知のことだろう。 そのせいで、安宿でさえネット予約しないと泊まれないことがある。僕が数年前に旅した旧ユーゴスラビア諸国やコーカ…

NHK FM「音楽遊覧飛行 エキゾチッククルーズ」を聴く

高校生のころは勉強をさぼってラジオばかり聴いていた。ちょうどプログレッシブロックに目覚めたころでもあったので、NHK FMで流れるロックを録音して繰り返し聴いていた。プログレの長い曲をきちんとかけてくれるのはNHKぐらいのものだったが、それでもいつ…

写真集『ディア・インディア』(3)旅の本のデザイン

松田さんのオフィスに行くと、これまで松田さんが制作なさった本をお見せいただき、ひとつひとつの作り方を説明いただいた。 その中で箱に入った小さな本があった。それは僕もとても気に入っている本で、外側の箱にコンクリートの表面が印刷され、中は海の水…

写真集『ディア・インディア』(2)苦心惨憺の編集作業

写真家の写真集を出すのは初めてのことなので、どのように作ればいいのかとまどった。 最初、写真集なのだから、写真を並べるだけでいいのだろうと考えていた。それなら簡単だ。面倒な校正も必要ない。そう思って、掘井さんから送られてきた写真をページにぺ…

写真集『ディア・インディア』(1)掘井太朗さんのこと

今度、旅行人から写真集を出すことになった。『ディア・インディア』という写真集だ。 FACEBOOKでたまたま見た掘井太朗さんという写真家の、インドの写真に心をひかれ、写真集を作ってみようと考えたのだ。 掘井さんは石垣島に住んでいる。職業は写真家では…