2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧
神に祈りは通じた。 待ちに待った合格通知が郵便で届いたのである。 父や兄からは、補欠に入ったのなら、まず間違いなく合格だろうといわれていたが、世の中何が起きるかわからない。不安におののきながら合格通知を待っていたのだが、本当に届いたときは、…
いよいよ入試がスタートした。てはじめに受けたのが四谷にある上智大学である。ここの試験問題はまったく研究していない。試験場の雰囲気に慣れるのが第一の目的だったから、とにかく試験を受けてみることが大切だった。 しかし、出てきた英語の問題用紙を見…
東京である。 ついに上京した。 もう高校に行かなくてもいい。親から遠く離れられたとたん幸福感が僕の全身を包んだ。あまりにも幸福だったせいで、肝心の予備校に行くのさえ忘れてしまったほどだ。入学手続きだけはしたものの、最初の1カ月だけ通って、あと…
直前に受けたテストの偏差値をみれば、僕が慶応大学に合格できないことは(父以外の)誰の目にも明らかだった。それでも僕は東京に出ることを心から望んでいたので、無理なこととは知りつつも、できれば合格を願っていた。慶応一本に絞って3学部を受験し、む…
僕は実力通りの定位置を得て、そこから上がることもなかったかわりに下がることもほとんどなかった。下がる余地がほとんどなかったともいえる。勉強をほとんどしなくなり、夜は深夜放送やロックを聴くか、下宿仲間と深夜喫茶に入り浸ってタバコを吸ったり酒…
クラスには、僕よりももっと徹底した劣等生がいた。 その男、山元は、何のためにこの高校に入学したのか理解に苦しむほど勉強を拒否し続けた異色の生徒であった。僕のように勉強するのに疲れて勉強をしなくなったというのではなく、初めからまったく勉強する…
今回はちょっと横道にそれて、高校生活で数少ない楽しい思い出を書こうと思う。とはいえ、実はこれから書く話は、すでに当ブログで10年前に発表してしまったものだ。だが、あえて加筆して再録する。 僕の高校は、進学校にありがちなスポーツ弱小校だった。例…
あまり居眠りばかりしていると教師から殴られるので、授業中に居眠りしないために僕はこっそり漫画を描いていた。教師たちをモデルに数ページの他愛もない漫画を描いたところ、これが生徒のあいだでバカ受けした。初めはクラスの中で受けただけだったが、あ…
じょじょに、僕は勉強に倦んでいった。成績が上がらないからというより、こんな生活にうんざりしてきたのだ。 僕は高校に入るのにもざんざん受験勉強をやらされた。もともとこの高校は自分の学力からすればレベルの高すぎる学校だった。中学の進路指導では、…
僕の田舎は鹿児島市から車でおよそ1時間半の山間部にある(現在の霧島市)。中学3年の1学期までは地元の学校に通っていたが、そのままだと鹿児島市にある高校へ進学することはできないので、2学期になってから鹿児島市内の中学校へ転校した。いわゆる越境入…
それだけ勉強に励んだにもかかわらず、テストの席次はいっこうに上がらなかった。 何故席次が上がらないのかはすぐに理解できた。つまり全員が同じように勉強したからである。正確に書くと、僕のように勉強しなくても、僕より頭のいい生徒が大勢いたし、そう…
劣等生という刻印を押しつけられることから始まった高校生活は、その後も惨憺たるものであった。進学校というのは成績がすべてである。成績がよければ教師から優遇してもらえるし、悪ければ存在意義を認められない。例えば、どんなに部活動で活躍しても、ク…