2019-01-01から1年間の記事一覧

もしもハザリバーグが観光地になったら

先日、アフガニスタンで中村哲さんがお亡くなりになるという不幸な事件があって、今年の印象はまったくよろしくないが、そのうえ友人がネパールで客死するという悲しい話が舞い込んできた。その前日までフェイスブックでやりとりをしていたのに、悲劇は一瞬…

『チョンキンマンションのボスは知っている』を読む

香港のチョンキンマンションを根城にして商売するタンザニア人を調査した文化人類学者のエッセイ。タンザニア人たちがどのようにして商売し、どのような集団関係にあるのかを、彼らと長年ともにして解き明かしていったのが本書だが、論文は別にあって、こち…

ミュージシャンのサクセスストーリー映画『ガリー・ボーイ』

インド、ムンバイのスラム街の青年がラップミュージックに目覚め、やがてコンテストに優勝して成長していくストーリーは、アメリカ映画『ストレイト・アウタ・コンプトン』とほとんど同じといっていい。『ストレイト・アウタ・コンプトン』は実在の人気ラッ…

場末感漂う成田空港第3ターミナル

今回初めて成田空港第3ターミナルを使用した。2015年4月に開業したそうだが、いやびっくりしましたねえ。何がって、その場末感いっぱいな雰囲気に。これが天下の成田空港のターミナルなの?って感じ。 LCC専用ターミナルだからこんなもんでいいんじゃないの?…

アジアハンター小林真樹『日本の中のインド亜大陸食紀行』(阿佐ヶ谷書院)を読む

希有な本が小さな出版社から刊行された。日本でインド亜大陸の食文化を追求しようという本だ。それだけ書くと、日本にあるインドレストランのガイドブックかと思ってしまうが、この本に書かれているのは、一般的なレストランに加え、普通の日本人ではまず発…

北澤豊雄『ダリエン地峡決死行』を読む

旅行者の間でよく知られる国境の難所がある。なかでも最も渡るのが難しいとされるのが、パナマとコロンビアの国境だ。国境地帯はジャングルで、もちろん交通機関はなく、猛獣もいれば武装ゲリラもいる。ここを陸路で渡ろうとする普通の旅行者はまずいないの…

インド先住民アートの村へ~ハザリバーグ画について

去年の11月にインドのジャールカンド州へ先住民の家の土壁に描かれた絵を見にいって、今年の2月から3回、それについてのトークイベントや展示会を重ねてきた。次の5月18日に福岡アジア美術館でトークイベントをやり、5月24~26日に早稲田奉仕園でシリーズ最…

『ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる』

『ユーリー・ノルシュテイン《外套》をつくる』というドキュメント映画を観てきた。 ユーリー・ノルシュテインはファンの方には言わずと知れたロシアアニメーション界の巨匠だが、そのノルシュテインが取り組んでいるのがゴーゴリの名作『外套』のアニメ化だ…