2021-01-01から1年間の記事一覧

竹宮惠子のバックパッカー旅行。その2

のっけから訂正です。 前回書いた竹宮と増山の会話で、増山が「知ってるわよ、それくらい! 小澤征爾だってそういうので武者修行に行ったのよ!」といったと竹宮は書いたが、前川さんから指摘があり、小澤征爾はシベリア鉄道に乗っていなかった。1959年、神…

竹宮惠子のバックパッカー旅行。その1

ブログの「萩尾望都はバックパッカーだった」を読んだ人から、Twitterで竹宮惠子の『少年の名はジルベール』(小学館)にも、彼女たちのヨーロッパ旅行について書かれていますよと教えていただいた。さっそく図書館でその本を借りてきた。 萩尾望都の『一度…

宮田珠己さんの新境地『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』

アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険 作者:宮田珠己 大福書林 Amazon 14世紀、ジョン・マンデヴィルというイングランド人の旅行家がいた。中東、インド、中国、ジャワ島、スマトラ島を旅して『東方旅行記(マンデヴィル旅行記)』を発表し、ヨーロッパで多…

萩尾望都はバックパッカーだった。その3

『一度きりの大泉の話』の最終回です。 1972年、彼女たちは無事に44日間のヨーロッパ旅行を完遂した。萩尾望都はこう書いている。 「名所旧跡などへはあまり行かず、(私は名所旧跡の知識もなかったので)日本と違う風景や異国の街や異国の乗り物や人々を見…

萩尾望都はバックパッカーだった。その2

1972年、萩尾望都(当時23歳)、竹宮惠子(同22歳)、山岸凉子(同25歳)がシベリア鉄道に乗ってヨーロッパへ旅した時代は、まさに海外旅行など高嶺の花。このあたりの事情は前川健一さんの専門分野なので、氏の『異国憧憬ー戦後海外旅行外史』(JTB)から引…

萩尾望都はバックパッカーだった。その1

長文になりそうなので、ひさしぶりにブログで書くことにした。 少し前に話題になった萩尾望都『一度きりの大泉の話』を読んだ。これを読むまで、萩尾望都と竹宮惠子が不仲だということをぜんぜん知らなかった。そもそも萩尾望都と竹宮惠子が不仲だろうが仲が…