帰国しました

 またもや、残暑お見舞い申し上げます。なんて暑いんざんしょ(←無視せよ)。
 ええ、取材から一昨日帰ってきましたが、疲れで土日はひっくり返っていました。やはりわが家は暑い。

 もっとも暑かったのはモロッコも相当暑かった。昼間は暑いのでメディナの人通りも少なくなるが、夕方になると、狭い路地にものすごく多くの人間が歩く。それはまるでラッシュ時の新宿駅並みで、メディナをゆっくり眺めながら歩く、なんて余裕はほとんどない。

 モロッコマラケシュにあるジャマ・エル・フナ広場をご存知の方も多いことだろう。少年野球場が5〜6個は入りそうな規模の広場に、これがまた新宿駅のホームのように人が密集している。土日だけではなく、金曜の夜も月曜の夜もだ。まったくうんざりする。

 僕は17、8年ほど前に初めてモロッコへ行ったことがあるが、そのときは季節が違ったのか、これほど人は多くなかった。店の連中に聞くと、やはり昔からすると内外からの観光客はかなり増えているそうである。

 しかし、今回のモロッコで最も驚いたのは人の多さではなく、あの「偽ガイド」の消滅であった。『歩き方』にも、今は昔ほどではないと書いてあったが、まったく見かけることもなく、つきまとわれることもなかった。そのことに非常に驚いた。

 昔、モロッコに行ったことがある方はよくご存知だと思うが、モロッコの自称ガイドの執拗さは、インドでさえまけるといわれていたほどである。今回の取材にあたって、このことがひどく気がかりだったのだが、いやあ、これほど見事に消滅してしまうとは。旅がしやすいというか、ゆっくり見物できていいと思ったが、ゆっくり見物できるのは、いちばん暑くて誰も外に出たがらない昼間だけなのだった。