次号の制作終了報告とあぜんとなった本

 ようやく次号の制作がほぼ終了し、今は青焼き(印刷見本のようなものですね)を待っているところである。表紙はこういう感じです。写真は、キューバ音楽のCDなども出している写真家、高橋慎一さん。


 前にも書いたが、今回は巻末のキューバ旅行情報に富永さんの地図が入り、情報も非常に充実している。巻末情報だけでも正味20ページあるうえに、ハバナ市街地図が2ページプラスされて、たぶんこんなに詳しいキューバガイドは日本語版では今のところない! というほど充実してます。ページが増えたので、まことに恐縮なんですが、値上げしました。すいません。でも、キューバに行きたい人には、他社のガイドブックより情報が充実していて、値段も安いです。

 宣伝が続きますが、私の新刊より先に、堀田あきお&かよさんの『アジアのディープな歩き方』の続編が、7月10日に発売になります。これです。

 話は全然関係ないところに飛ぶが、このまえようやく『サイエンス・インポッシブル ──SF世界は実現可能か』(ミチオ・カク著、斉藤隆央訳、日本放送出版協会)という分厚い本を読み終えた。タイムトラベルとか念力といったSFに登場することが、どれぐらい科学的に可能なことかを解説した本である。もうちょっとわかりやすい本かと思ったが、内容はけっこうハードで、正直言って書いてあることの半分も理解できなかった。だが、それはそれでおもしろい本だった。

 この本の中で、もっともあぜんとなったのは、タイムマシンが可能かもしれないとか、テレポーテーションだってできるかもしれないといった話ではなく、宇宙の消滅についてである。みなさんもご存じのことと思うが、そのうち地球は太陽の膨張に飲み込まれて消滅することになっている。50億年後のことだ。実際には飲み込まれる前に、膨張を始めた太陽の熱で地球は焼き尽くされ、10億年後には死の世界となるらしい。

 10億年後のことなんか知ったことか、よきにはからえ、と誰もが思うことだろう。しかし、そうは思わない人も世の中にはいて、どうしたらその前に地球を脱出できるか真剣に研究している人がいるのだ。そういう人々は、人間が住むことができる星へ行ける交通機関の研究を行っている。普通のロケットぐらいじゃまったく届かないので、反物質ロケットとか太陽帆ロケットといったSFみたいな方法を研究しているんだそうな。巨額の費用を使ってだ。

 それだけではない。もし人間が無事に他の星に移住できたとしても、いずれ宇宙は生命が生存できない絶対温度ゼロ状態になる。そうなるのがいつかというと「10の14乗」年後のことである。そうすると、どんな宇宙船を造ったところで、人類はその死の状態から逃れることはできない。いいかげん人類も滅びたっていいんじゃないの、善戦したよわれわれは、とどちらさまも思われることだろう。

 だが、それでもまだ生き延びる手はないかと、今の段階で考える人が世の中にはいるのだ。いったいどういう思考パターンをしているのか。日常生活はどうなっているのか、そっちの方が心配になる。で、どうするのかというと、空間に穴を開けて別次元宇宙に移るんだと。ますますSFじみてきたが、彼らは本気なのだ。どうやったらそんなことができるのかというと、ものすごく大きなエネルギーを空間の一点に集中させると、別次元宇宙に通じる穴が空間に開くんだそうだ。それは物理学の法則に矛盾せず、理論的には可能だという。その研究に、ヨーロッパや日本では膨大な予算を投入して研究しているという。そんなことは未来の人類にまかせておけばいいのではないか。

 もちろん、研究の目的は10の14乗年後のためだけに行われているのではなく、こういう研究をすることで、近未来に必ず訪れるエネルギー問題を克服できる可能性があるということで、それを読んでちょっと安心した。こういう本を読むと、いったい科学者の頭の中ってのはどうなってるんだと思いますねえ。

追加
 最近、流行っている阿修羅。テレビでも盛んにやっているが、阿修羅のことをなんで仏像というのか。あれは仏像ではなく守護神だろう。あれを仏像といっていいことになっているのか、今は。