この1週間の仕事(未完)

 忙しい忙しいなどと言っていたら、あっという間に一週間が過ぎ去って、『アメリカ鉄道大全』の色校も終わり、次の『漂流するトルコ』を組んで、読んでいる最中である。この本はかなりの読み応えがあって、ページ数も350ページの厚い本になる。『トルコのもう一つの顔』(中公新書)や、本誌の連載をお読みくださった方はすでにおわかりだと思うが、この物語はトルコの少数民族の実態と、その言語にスポットを当てた画期的なもので、本書では、著者の小島剛一氏が、前著でトルコを国外追放されてからの波瀾万丈の物語が綴られている。前著をお読みになった方は、この続編をまだかまだかとお待ちになっていると思うが、9月初旬までもう少しお待ち下さい。

 数日前に終わったのが、内輪の仕事ですけど「旅行人山荘」のパンフレット。最初に頼まれたときは、旅館のパンフレットのデザインなんてやったことがないので、かなりとまどった。さんざん迷いつつも一度作ってしまうと、それを徐々に改善していけばいいので精神的には楽になる。実は今でも優れた旅館のパンフレットというのが理解できていないというか、イメージできないでいるのだが、注文主(兄)が満足してくれているので、とりあえずそれでいいことにしている。こんな感じ。


旅行人山荘
http://ryokojin.com/
 『漂流するトルコ』と平行して制作中なのが、毎年やっているNGO団体「緑のサヘル」のカレンダー。今年で私がやり始めて7年目になる。こういうのも、知らないうちに月日が経っているもので。写真は毎年、小松義夫さんの作品で、私は小松さんの素晴らしい写真を、いかに邪魔しないようなデザインをするか心がけているだけだが、とはいっても、毎年デザインを変える必要があるので、空気のように邪魔にならないデザインを考えなくてはならない。こう書くと簡単そうだが、これが意外に簡単じゃないんですよ(笑)。デザインが悪いと写真までひどく見えるもので、写真のレベルには及ばずとも、写真の品質を保てるようなデザインをとがんばっているわけですね。

 これがここ7年のカレンダーの表紙。こうやって見ると、最初の頃の写真はちょっと地味というか、おとなしい感じがする。デザインも平板で、傑作とはとてもいえない(笑)。3年目の2007年頃から、写真が派手になり、少しデザインらしくなってきている感じがする。実際、サヘルの方が、この年のカレンダーは評判がよかったといっていた。私も段々、言いたいことを言って写真を選ぶようになり、カレンダーのデザインに徐々に慣れてきたのだ。

 個人的には、2007年、2009年の看板の写真のデザインが気に入っているが、それは私がこのようなストリート・アートを非常に好きだということにも影響されている。写真家の小松さんは、世界各地の家を撮影することで有名な方だが、もちろん家だけを撮っているわけではなく、人物も風景も看板もいい写真がたくさんある。そういう写真から好き勝手に選んでデザインするのは楽しいが、どうしても自分の好みというのは知らないうちにデザインに反映されてしまうものだ。

 このカレンダーは、毎年だいたい11月初め頃に発売になる。大判で月めくりで1000円(税込)だから、かなり安いと私は思う。旅行人カレンダーは小さいので、あなたのお部屋の片隅にそっとはっておいてくださいねというイメージで制作しているが、これは机の前にどーんとはってスケジュールをがしがし書き込んでいただけるようなイメージだ。興味がある方は、緑のサヘルまでどうぞ。
http://sahelgreen.org/

『トルコのもう一つの顔』はこの3月で9刷になったそうである。未読の方は、ぜひどうぞ。絶対に読んで損しない傑作です。