オーストラリアのキャンプ場から

 私は今、オーストラリアにいる。なぜオーストラリアにいるかについては、謎の事件があったのだが、機密上、詳細は過去のブログを参照されたい。

 で、今、オーストラリアのユンゲラ国立公園というところにいる。キャンピングカーを借りて、クイーンズランド州のキャンプ場に泊まりながら、あちこち旅している。私は日本ではオートマ免許なのだが、オーストラリアにはそんなものはなく、借りたキャンピングカーもマニュアル車だ。ところが私は、昔々の40年前、無免許で自宅の車を乗り回していたことがあり、そのときギアチェンジの仕方を覚えた。そのときの記憶が頼りでマニュアル車に挑んだという次第。

 子どもの頃に身体が覚え込んだことというのはたいしたもので、一応何とかクラッチを踏んでギアをシフトさせることはできるものだ。ちょっとタイミングが狂って、いきなり急発進してしまうこともたまにあって、隣の小川は悲鳴を上げているが、それでもまあこれまで1700キロの半分ぐらいは無事に運転できているのである(半分は小川が運転した)。

 オーストラリアの車はほとんどがマニュアル車であるらしい。走ってみて思ったのだが、確かにこの国の道路ではオートマ車は無駄である。平坦でまっすぐな道ばかりなので、いったん走り出してしまえばギアはトップに入れっぱなしで、ほとんどオートマ運転と同じだ。発車するだけのために割高なオートマ車を買う必要はないのであろう。

 オーストラリアはカンガルーの国といわれているが、ここに着いて3日目まで生きたカンガルーを目にすることはなかった。そのかわり道路に転がっているカンガルーの死骸は山ほど見た。普通の道路で制限時速100キロのオーストラリアでは、道路に飛び出してくるカンガルーを避けることはほとんど不可能だ。飛び出してきたらぶつかるしかない。だから、不運なカンガルーはことごとく跳ね飛ばされて死んでしまうのである。かわいそうだけど、まあそういう理由で道路には死骸がごろごろ転がっているのである。

 もしかしたら、このまま生きたカンガルーにはお目にかかれないのではないか、オーストラリアじゅうのカンガルーが車にひき殺されてしまったのではないかと思っていたら、さすがに国立公園のキャンプ場に入ったら、カンガルーがひょっこりと生きた姿を現した。やはり生きたカンガルーもいたのだ、オーストラリアには。小さな姿からすると、ワラビーかもしれない。ここに来る前までは全然興味がなかったが、車社会のせいで絶滅かと危惧したので、無事にご対面できてうれしかった。だが、その後うんざりするほど目撃した。ちなみにコアラはまだ見ていない。今後も見ない可能性が高い。

 さて、この文章を書いているユンゲラ国立公園というのは、クイーンズランド州のちょっと内陸部にある標高700mほどの場所である。みなさんにもキャンプ場からの展望をお見せしましょう。こういう感じの風景がこのキャンプ場から見えます。画面中央の山が東で、山の向こう側に南太平洋が広がり、グレート・バリア・リーフがあるわけですね。ここからいちばん近い海岸線まで、直線距離でおよそ50キロと割と海にも近いところです。こういうところのキャンプ場でもインターネットができて、こうやって文章や写真が送れるんですから、ほんとにすごいものです。それでは、また。