『国マニア』がおもしろい!

 ようやく次号の制作が終わったと一息ついていたら、当欄がぜんぜん更新されていなかった。ヤクルトの古田選手ぐらいになるとブログが更新されないだけでニュースになっているが、実に気の毒なことである。忙しくてブログなんか書いている場合じゃないだろうにねえ。

 あの古田選手でさえブログを書いているのに、零細出版社のおまえがさぼってどうする! とのご意見もあろうかとは思うが、確かに忘れてるわけじゃないからさぼってるわけだよな。すんません。

 相田さんに何度も念を押されている「定期購読継続お願い漫画」もまだ描けない。これなんか年に1度の締め切りなんだがなあ。最初はまあテキトーという感じだったのだが、これも年に1度が積み重なって10回を超え(つまり10年以上になる!)、だんだん連載らしい雰囲気になってきて、そのうちオチをつけないとイカンという感じになってきて、わずか年に1度の締め切りがプレッシャーになってくるからおそろしい。

 とまあ、いろいろ言い訳をしながら今回は何を書くかというと、ええ〜、最近読んだ本でおもしろかった本その1(その2以降があるかどうかは不明)。実はすでに去年の12月に出ていて、しかも掲示板でも誰かが触れていた本なのだが、吉田一郎『国マニア』(交通新聞社)である。これは実におもしろい。

 世界にはいろいろな国がある。で、ちょっと中途半端な国もある。例えば僕も書いたことがあるが、以前南アにあったホームランドの国々は、南アが南アの中に創設した特殊な国だった。ホームランド国のひとつトランスカイに僕は行ったことがあるけれど、一応その「国民」はトランスカイのパスポートを所持し、国境を越えるには入国審査が(一応)必要だった。

 その「国」も、南アが黒人政権になって消滅し、幻の国となってしまった。そういう特殊な事情や、さまざまな歴史を背負った「国」や「地域」が世界にはたくさんあることをこの本は教えてくれる。「沿ドニエストル共和国」なんて全然知りませんでした。インドに関しても「クチビハール」という地域がインドとバングラデシュで飛びを数多く抱え込んでいるなんて知らなかったし(最近ここら辺のガイドブックを作ったばっかりなのに)。

 見出しがまた秀逸で、これを見ただけで読みたくなってくる。
・国がまるごと音信不通になってしまった、とんでもない島
ハローキティ金貨が通用するオチャメな島々
・元ボクシングヘビー級王者にノックアウトされた王国
・あったのに、なかったことにされてしまった国
 さあ、この見出しの国はいったいどこでしょうか。正解は、もちろんこの本をご覧下さい。

 この本は今年の4月に増し刷りされているので、そこそこ売れているようだが、こういう本こそ、うちで出したかったなあ。売れてるから言う訳じゃないんだけど、旅行人の読者だったら喜んでくれると思うんですよ。