新しい布団とカラオケボックス

 またもや当欄の書き込みが1カ月ぶりになってしまった。すいません。
 今月は旅行人本誌の休刊月なので、本来なら旅行しているはずだったのだが、腰痛あり、雑務ありで、残念ながら旅に出ることはできなかった。日本でオリンピックを見ながら愚痴をこぼしていたというわけである。

 腰痛がようやく癒えた頃、わが家では布団の打ち直しをやった。僕の布団はなにしろ20年以上使い込んだ正真正銘の「せんべい布団」。中のワタも少なく、硬くて薄い敷き布団で、正直言って冬はかなり寒かった。それで、冬が訪れる前に、もうちょっと厚めに打ち直してもらうことになったのだ。

 新しい布団を買うよりちょっとだけ安い費用で、20年ものの布団の打ち直しをやってもらった。布団屋さんに身長を聞かれて、176センチだと答えると、それじゃ今の布団でははみ出すでしょうという。確かにはみ出すことははみ出すが、夏の暑いときははみ出すほうが涼しくていいし、冬の寒いときは丸くなって眠るのでとくに困ったことはない。でも、せっかく打ち直すのだから、少々長めの布団にしてもらった。

 打ち直しが終わって、わが家に新しい布団がやってきた。破れていた布団カバーもすっかり取り替えられ、大きさも変わっているので、新品と同じである。元の部品で活かされているのは、中のワタの一部だけであろう。で、夜がやってきて、新しい布団で眠った。ふかふかして心地よい。

 朝が来て、我が身に異変が起きたことに気が付いた。背中が痛い。とても痛い。笑っていられないほどだ。うーむ、これはどう考えても新しい布団のせいだ。硬くて薄い布団に慣れていたので、ふかふかする布団に眠ると、背中が妙に曲がってしまって、これが痛みを引き起こすのに違いない。夢見もよくなかったし。こんなことなら打ち直しなんかするんじゃなかった。

 このままでは背中によくないので、布団が陥没しないように、新しい布団の上に絨毯を2枚敷き、その上にさらに毛布を折り畳んで敷いてみた。それで一晩寝たら、見事に背中の痛みはおさまった。やれやれである。というわけで、今は毎晩こうやって布団をセットしなければならないのである。実に面倒くさい。我が身の貧乏くささがイヤになる。



 1カ月以上前の話だが、友人たちに連れられて、生まれて初めて「カラオケボックス」に入った。僕はカラオケが嫌いなので、自分からすすんでカラオケなどやらないし、これまでカラオケを経験したのは、友人の結婚式の二次会でお付き合いした一度だけである。カラオケは聞くのも歌うのも興味がない。僕の趣味にも合わない。

 それが、仲のよい友人に「まあ、まあ、付き合いなんだから」と池袋のとあるカラオケボックスに連れ込まれたのだ。中の様子がどうなっているのかはご存知の方が多いと思うので書かないが、友人たちは、カラオケのリストの中から昔のアニメおよび子供番組の主題歌だけを選んでセットするのである。すると、おお、なつかしや、そのアニメがカラオケのモニターに映し出された。

 「スーパー・ジェッター」やら「ビッグX」やら「宇宙エース」やら「七色仮面」やら「ハリマオ」やらが次々と映し出され、友人たちは主題歌を声高らかに歌う。今流行の歌なんかには目もくれない(知らないんだと思うが)。とにかく画面に昔のアニメなどが映し出されるものだけを選んでセットするのである。カラオケというより「懐かしのアニメ上映大会」という感じだ。カラオケにはこういう楽しみ方もあるのかと初めて知りました。友人が言うには、新宿には、こういうアニメファンの聖地といわれるカラオケボックスが存在するそうである。