デービッド・アッテンボローの講演会

 デービッド・アッテンボローの講演会に行ってきた。D.アッテンボローは映画『ガンジー』などの監督で知られるリチャード・アッテンボローの弟だが、デービットさんの方は映像プロデューサーであり動物学者でもある。BBCで動物や植物の生態を描いたすぐれたドキュメンタリーを制作しているが、日本でもNHKで『生き物たちの地球』などを放送していたので、ご覧になった方も多いだろう。

 僕もこの『生き物たちの地球』という番組が大好きで、10年以上前に放送された番組を今でもときどき見返しているのだが、今度そのアッテンボローさんが「コスモス国際賞」を受賞し、来日記念講演を行うことになったのだ。コスモス国際賞というのは、1990年に大阪で開催された「花の万博」を記念して設けられたもので、地球の自然環境に寄与している人に毎年贈られているという。副賞4000万円のビッグな賞だ。

 それで、講演会はどうだったかというと、これがけっこう退屈だった。それは決してアッテンボローさんのせいではない。僕は初めて同時通訳付きの講演会をいうのを聴かせてもらったが、このやりかたそのものに退屈させる原因が含まれているように思われる。アッテンボローさんが英語で講演すると、耳に着けたイヤホンからは同時通訳された(ことになっている)日本語が聞こえてくる。それだけでなく、入り口ではパンフレットが渡され、それには日本語訳された講演内容そのものが記載されているのである。

 ずいぶん親切なことだが、講演が始まるまでにすっかりそれを読み終えてしまうと、本番の講演もほとんどそれと同じだから、何を話すのだろうという期待感がすっかり失せてしまうのである。いけないのは、ジョークまできちんと書かれているから、肝心の本番で彼がそれをいってもちっともおもしろくないことだ。

 同時通訳の方も、基本的には同時に通訳なさっているのだろうが、ときどきまだ話していない英語を日本語の方が先回りして通訳したりと、いまいち緊張感がない。どうしても眠くなりますね、これでは。でも、他にやりようがないとも思うのだけれど。しかし、アッテンボローさんを間近に見られてうれしかった。