鹿児島から東京へ

 鹿児島の用事を終えて、東京に向けて出発する。九州自動車道では熊本県で雪が降ったが、道路に積もるというほどでもなく、雪景色の中を快調に北上した。福岡の友人宅に忘れ物をしたので、再び福岡に寄り、そこからあらためて東京を目指す。そして本土に入り、山陽自動車道を走って、まず福山SAで宿泊。ここが寒かった。積もるほどではないが雪も降った。朝、目が覚めて車の外に出たら、車はご覧のありさま。

 これだけ見ると、車中泊はさぞ寒かろうとお思いになるかもしれないが、案外そうでもありません。断熱シートを敷き、シュラフに入ってこたつ布団を被り、そのうえ使い捨てカイロを4つも使ったので、ぜんぜん寒くはなく快適だった。問題は、駐車場に停まっている大型トラックのエンジン音だ。彼らもSAに停泊するのだが、寒いので一晩中エンジンを切らない。そのディーゼル音がうるさいのだ。しかし、暖房を止めると寒くて眠れないだろうから、しょうがないといえばしょうがない。

 翌朝、福山SAを出発して和気ICで山陽道を下り、伊部市へ向かう。ここは備前焼の窯元が多い町で、焼き物を見に立ち寄った。焼き物の町だけあって、あちこちに窯の煙突が立ち、登り窯が見える。その町の中を山陽新幹線が轟音を上げて走り抜けていく。滅多に雪は降らないと地元の人はいっていたが、このときはときどき雪が舞って、昔風の家並みにぴったりと似合っていた。


 雪が降る伊部市

 伊部市のあちこちにある登り窯

 窯の煙突が立つ伊部市の風景


 備前焼といえば焼しめた茶色と窯変した赤黒い部分のある陶器というイメージしかなかったが、窯元や店でいろいろ見せてもらうと、ひとくちに備前焼といっても実にいろいろな色合いがあることを知った。もちろん、そのいくつかを購入した。こういう感じです。


左から馬場隆志、柴岡秀泉、近藤正彦


 備前だけではないが、どこの窯も近頃は低調で人が減っているらしい。備前もかつては窯業に従事する人が7000人いたが、現在では3000人ほどになり、作家は400人ほどであるという。窯業だけで生活が成り立っているのはそのうちの何割かだそうだ。益子でも同じようなことをいっていた。

 夕方、そこから少し戻って岡山市へ行き、読者の大岩峰男さんがやっているカレー屋クワイエット・ビレッジ・カレーショップへ。ここではベンガル風のカレーを出している。なんでもバングラデシュ人のコックさんから伝授されたというが、バングラデシュのカレーより盛り付け方がはるかに美しい。とてもおいしかったです。

Quiet Village Curry Shop
http://macolors.blog54.fc2.com/blog-entry-189.html
※Webサイトが見つからないので、ここを取り上げたブログです。



 岡山市から再び山陽道に乗り、その夜は三木SAに宿泊。ここでも多少雪が舞ったが、車中泊も3泊目になると慣れたもので、快適にぐっすり眠る。翌朝出発し、山陽道を抜けて中国道名神を経由して新名神に入る。琵琶湖を過ぎたあたりから雪景色に変わった。

 往路のとき、この新名神の土山SAで一泊したが、ここも雪が降って寒かったが、地図を見ると、このSAは山の中で標高もいくぶん高く寒いのは当たり前だ。よりによっていちばん寒いところで宿泊してしまった。鈴鹿山脈を越えると嘘のように雪がなくなり、快調に東京まで走り抜けた。

 その日の午後2時に東京に到着。夕方、福岡の友人からメールが届き、九州自動車道福岡都市高速道が積雪で通行止めになっていたが、たった今解除されたところだという。おお、なんと運がよかったことよ。通算3000キロの旅だったが、事故も違反もなくて何よりだった。