儲かるようになっている

 以前の当欄で、こんな値段で儲かるわけがないだろうというような話を2つ書いたことがある。ひとつはパック旅行の格安料金。新聞のチラシを眺めていたら沖縄2泊3日で3万円台というのがあって、こんな低料金で、どうやって儲かるのかというようなことを書いた。

 そしたら友人からメールをもらって、ホテルが安い料金でも泊めるのは、旅行社と顔をつないで正規料金の客を回してもらおうという考えや、宿泊客にホテルでカネを使ってもらおうというたくらみ(カラオケバー、お土産屋、夕食の酒や特別料理、朝食など)などがあるのではないか。あるいは、旅行社と「月に200人送る」というような契約をして、料金を格安にするという方法などがあると彼はいう。航空運賃は一般的な割引きに加えて、月に目標の座席数を売れば、巨額の報奨金が入るという制度もあるそうだ。

 なるほど。つまり宿泊料金だけではホテルはやはりペイしないということになるが、旅行人山荘の社長に聞くと、「そりゃ無理だ。それでも客が入らないよりはいいから取っている不況のホテルが日本にはいかに多いかということだよ」とのことである。ホテルはこれだけでは儲からないが、旅行主催会社は儲かっているのだ。だから新聞に広告を打てる。

 旅行会社の知人に聞くと、友人の説はほぼ正しいようで、とにかく数多く客を送ることで格安料金を引き出しているという。涙ぐましい努力をしているといえなくもないが、よくいわれる土産物屋のリベートなどは、いくらたくさん客を入れてもらっても客があんまり買わないとリベートを取られるだけ赤字になることもあるという。それでも旅行会社は儲かるようになっている。土産物屋だけでなく、現地ガイド、バス、ホテルにレストランと、あらゆる場所でこういった手法が取られている。こういうことをやるからこそ、あのような格安旅行が実現されるのである。

 2番目。1冊8円で古本を売って儲かるわけがないと書いた話。これもまた友人がメールをくれて、それでは儲からないかもしれないが、実績が必要なのではないかと彼は推測する。商品が動いたという実績がないと、取引上の条件が悪くなるのはよくあることである。うなずける説である。

 ところが、最近、読者からメールをもらって、この方がおっしゃるには、そんなことを心配しなくても、書店はちゃんと利益があがるようになっているんですという。それがどのような仕組みになっているかは教えてくれなかったが、1冊1円の本でも注文を気兼ねする必要はないらしい。そうですか。これで心おきなく1冊1円の漫画本も買えますが、なんで儲かるようになっているんですか?