コンピューターでイラストを描く

 9月6日に講演会に来てくださった皆様、ありがとうございました。なかには四日市とか京都から夜行バスで来てくださった方もいて、ほんとにありがとうございました。

 さて、今日のブログのテーマはイラストだ。得意な方ではないが、私も近頃イラストをコンピューターで描くことが多い。最近描いたのは、読売新聞の折り込みで「トラベル・コンシェルジェ」というのがあって、それに1年間連載しているエッセイ第2回用のイラスト。私のコンピューター・テクニックがすごいわけではまったくないんだが、普通の人はコンピューターでイラストを描く過程などはあまり見たことがないと思うので、ちょっと紹介します。


(1)まず、黒一色の線でイラストの元図を描いてスキャンする。


(2)岩の色をざっと着ける。色づけは主にエアブラシのツールを使用する。大きなブラシで、イラストの線をはみ出すほど勢いよく塗って、あとから白色のブラシではみ出した部分を消しながら修正を加える。


(3)さらに洞窟内部を色づけし、岩の陰影などを強調させる。


(4)シュラフに色を塗って影をつけ、人物の陰影もつけたり、全体的に陰影をつける。


(5)空を黒く塗って夜空にして星をちりばめる。星の数が多いので、意外に時間がかかる。印刷では多分見えないんだけど、実は星の色は白と黄色のものがある。


(6)焚き火の明かりが洞窟や顔などに照射する効果を加え、洞窟内の陰影もさらに付け加えて完成。焚き火が照射する描写はコンピューターだと工夫次第で比較的簡単にできるところがありがたい。


 これで私の場合だいたい3〜4時間ぐらいかかる。時間的には紙に絵の具を塗って描くのとそれほど変わらない。しかし、JPEGで圧縮してメールでしゅっと送れるところが何といっても簡単で便利である。発注先も原画の保管や返送に気を遣う必要がない。味気ないといえば味気ないんだが、友人のイラストレーターに聞くと、今はほとんどの場合イラストをデータ化して送るように注文されるそうだ。こうなると、原画というのは最初の線画だけで、色づけした完成画は単なるデータだけ。まさかこんな時代になるとは、私がイラストレーターになった頃には夢にも思わなんだ。