デジタルパッカー

 そろそろ今回の旧ユーゴ旅行も終わる。2年ぶりに旅に出て歩きまわったせいか、身体がついていかず、疲労でダウンしたりして、以前のように一日中歩きまわるというわけにはいかなくなった。しかし、腰痛はなんとか避けられたのはよかった。

 ところで、この旅ではツイッターフェイスブックにほぼ毎日書き込み続けていた。写真をアップするのも簡単だが、それほど今のホテルではWiFiサービスが充実しているということだ。WiFiがなかったのは、モンテネグロのブドヴァで、おばあちゃんの家に民泊したときだけで、他はどの国でも、どんな安宿でもWiFiが飛んでいた。フロントでWiFiはあるかと聞くと、もちろん、聞くまでもないといった感じだ。スカイプやフェイスタイムを使えば、安宿の部屋から世界中どこへでも無料か超格安(1分10円)で電話できてしまうのもまたすごい。

 で、旅行者もそれぞれPCやタブレットスマートフォンを持っていて、宿ではみんなそれを見ている。アルバニア北部の山間部を旅していたとき、一緒の船に乗っていた団体客がスマートフォンで、今われわれはこの地点にいるとグーグルマップに青い点が示しているのを見せてくれた。

 同じことがバスでもあった。紙の地図を見て現在地点を探していたら、前の席にいたアメリカ人のバックパッカーが、やはりスマートフォンを見せてグーグルマップで現在地点を教えてくれた。みんなこういうのを使っているのかと驚いた。

 アジアに比べるとヨーロッパの宿は高い。30〜40ユーロは当たり前なうえに、予約していないと断られることも多い。だからネットで安い宿を探して予約する必要がある。ご存知だとは思うが、そのようなホテル探しのサイトはいくつもあり、ガイドブックには掲載されていないホテルがどしどし出てくる。そういうホテルに予約し泊まると、ホテルの人が、できれば予約したサイトに評価を書いてくれという。書き込みがあるかどうかで客の入りがかなり違うらしい。

 ボスニアモスタルで泊まったホテルで、日本人旅行者と会った。そのホテルはガイドブックには出ていない。どうやってこのホテルを選んだのですかと聞くと、私が予約したのと同じホテル予約サイトでいちばん安いホテルがここだったという。もちろん私も同じ理由でここにした。
 紙のガイドブックが消滅する日は近いということを実感した旅だった。