神様がくれた娘

 配給元からDVDが送られてきた2月15日から公開予定のインド映画。インド映画なんだけどダンスシーンがない。最近はインドでもこういう映画を作るようになったのだろうか、と思いながら観ていたら、なんか観たことがある気がしてしょうがない。それもそのはず、ネットの記事にこの映画はアメリカ映画『アイ・アム・サム』にインスピレーションを得て制作された映画だとあった。そうか、だからなのかとすっきりした。

 とはいっても、『神様がくれた娘』と『アイ・アム・サム』は雰囲気がまったく異なる。『アイ・アム・サム』は全編シリアスドラマだが、『神様〜』は最初がコメディ仕立てで、ファンタジーさを織り交ぜながら徐々にシリアスな方向へと向かっていく。ストーリー構成が凝っていて、149分という長さも飽きさせない。

 僕は映画を観るとき、できるだけ何も知らない方がいいと思っているので、物語については書きたくないのだが、それでは何もわからないから少しだけ説明する。6歳程度の知能しか持っていない男に娘が生まれるが、不幸にも妻はお産の時に亡くなる。周囲の助けも借りながら娘は5歳まで順調に育つが、ある日突然亡き妻の父が現れ、娘を連れ去ってしまう。そこから娘を取り戻すべく父親の奮闘が始まる、というストーリーだ。

 こう書くと、いかにもお涙ちょうだいの物語。娘役のサーラーは天使のようなかわいさで(『アイ・アム・サム』のダコタ・ファニングも天使のような女の子だ)、そんな子が愛しいお父さんを思って「パパ、パパ」と泣くだけでもらい泣きする方も多いことだろう。ダコタ・ファニングも名演だったが、サーラーの演技もなかなかである。だが、この作品の監督は「この映画は泣かせようと思って作ったのではない」といっている。そうかもしれない。現に僕は泣かなかった。

 美しい自然に囲まれたインド南部で育つ父子から、舞台は一転して都会の法廷劇へ。わかりやすい物語ながら、スピーディに展開して、最後はちょっと意外な結末へ。笑いあり、涙あり、そして美女ぞろいと(さすがインド映画だけあってものすごい美女がどしどし登場する)サービス満点の作品に仕上がっている。特に小さなお子さんを持つお父さんには涙涙となることだろう。寒い冬に心温まるものが見たいという方にはおすすめです。

http://www.cinemart.co.jp/theater/roppongi/topics/20131121_11094.html