まったくもって、再び、ああ中国鉄道

 ようやく印刷所に入れて、発売日も決まり、さあというときになって、なんですかこれは。またもや上海の地下鉄で追突事故だよ。幸いにも死亡者は出なかったようだが、事故後4時間余りで再開された運行に、またもや批判が続出。それで当面10号線の運転を見合わせることになったようだ。

 前川健一さんからすぐにメールがきて、『中国鉄道大全』には上海の地下鉄のことが出ているのかと尋ねられたが、もちろん出ていますとも。なにしろ上海地下鉄は軌道の総延長では世界最大なのだ(そうだ)。中国の鉄道を一応網羅する本としては、取り上げないわけにはいかない路線なのである。

 しかし、この本を制作したおかげで、この上海地下鉄10号線で起きた事故車両が何なのかがわかるようになったというのが個人的な驚きだ。
http://sankei.jp.msn.com/world/photos/110927/chn11092722320013-p3.htm

 この写真をごらんいただきたい。新聞社へのリンクなので、数日後にはリンクは消滅してしまうと思うが、この車両は、アルストムというドイツ企業と合弁でできたアルストム上海製のAC型というやつだ。前がぽっかり開いているのがわかると思うが、これは貫通型というタイプ。

 私は最初に原稿を読んだときに、地下鉄車両の貫通型というのがわからなかったのだが、著者が、地下鉄には貫通型と非貫通型があると説明してくれた。地下しか走らない車両は貫通型が多いらしい。今回のように地下で事故が起き、乗客が横の扉から外に出ると、隣の路線を走っている列車に轢かれる危険性があるからなんだそうだ。だからこのような非常時には、乗客は横の扉から出ないで、車両内を前後に歩き、最前列と最後尾にある扉から外に脱出するというわけですね。この写真を見て、著者の説明がよく理解できた。

 とにかくもう印刷所に入ってしまったのだから、四の五の言ってもしょうがない。予定通り10月18日に発売し、あとは中国鉄道の安全運行を祈るのみである。しっかりしろよ、中国鉄道!