ウォシュレットはお好き?

 ようやく次号「イエメン特集号」の制作が終了した。月刊の時代でも年末年始は休日だったのに、今度はけっこうハードな作業だった。まあ、とにかく無事に終わってほっとした。定期購読者の皆様には、僕が描いた小さな漫画集「鋼の旅行人」が付きます。お楽しみに。1月25日に発売なので、よろしくお願いします。

 さて、スマトラ沖大地震による津波の犠牲者が15万人を超えたという話だが、それでもこの年末年始の海外旅行者が1700万人を超えたという。東南アジア方面に行く旅行者の数がそれほどたいしたことがなかったので、旅行者減につながらなかったということらしい。ベトナムでは鳥インフルエンザで子どもが死んだという小さな記事が載っていたが、これなんかまったく話題にもならないし、もちろん海外旅行の妨げにもなっていないようだ。

 話は全然関係ないが、最近ホテルでも公衆トイレでもウォシュレットがかなり普及してきたように感じる。僕もこれの愛好者で、ないと入れないというほどではないが、なるべくあるトイレに入る。

 若い頃、僕は痔持ちだった。便秘症だったのだ。インドに行って下痢をしてから便が恒常的に軟化し、それに水で洗うようになったおかげだと思うのだが、この痔がすっかりよくなった。以来、尻は水で洗うが私の信条である。したがってウォシュレットの普及はまことにありがたいことである。

 あるとき新聞で読んだのだが、ウォシュレットのメーカーはこれを海外にも売り込んでいるが、アメリカではまったく売れないらしい。どうも便座から水が出てくるなんて冗談だと思うらしい。一度使えば病みつきになると僕なんかは思うけれど、そう単純なものでもないらしく、その後も普及したという話は聞かない。尻を水で洗う文化のあるところじゃないとダメなのかとも思うが、日本だって水洗い方式だったわけじゃないから、一概には言えない。

 それで、先日来日した香港の友人に聞いてみた。香港は基本的に紙拭き方式だが、日本のホテルに泊まっているんだから、使っているかもしれない。ところが、使い心地はどうだと聞くと、あるのは知っていたが、使う気がしないという。何故だというと、困った顔をして、水など使ったことがないし、使う気になれないからだという。

 それなら一度試して、使い心地を教えてくれと頼んでみた。次の日に聞いてみたら、どうもいまいちという様子である。一応「さっぱりした」とか「悪くない」というけれど、まあそれはお世辞で、顔には「あまり使う気にはなれない」と書いてある。思ったよりこういう部分は保守的なようだ。どんどん水洗い方式に切り替わっていく日本人の方が変なのか?