鉄板ルート

 先日、「エコノミスト」(毎日新聞社)から取材を受けたことはすでに書いたが、そのゲラを見ていたら、『旅行人ノート』で紹介するルートは「鉄板ルート」と呼ばれていると書いてあった。
「鉄板ルート」?
 なんだそれは。それでわが社の「歩く現代用語辞典」の相田さんに聞く。鉄板ルートって何?
 相田さん曰く、「鉄板は、若い子たちが絶対まちがいなくおもしろいという意味で使っているらしいですよ。だから絶対おもしろいルートってことじゃないですか?」
 へー、最近はそういう言い方をするんですか。
 しかし、いったいいつからそういう言葉が出てきたんだろうか。ネットで検索してみると、すぐに出てきた。「日本語俗語辞書」(http://zokugo-dict.com/)というサイトがあって、そこには次のような説明が出てくる。
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 鉄板は「硬い」ことから、「堅い」にかけ、ギャンブルや芸人の世界で「間違いない」「確実な」といった意味で使われる。特にお笑いの世界では確実にうけるネタ・ギャグ(主に大御所芸人の定番ギャグ)を『鉄板ギャグ』という。また、これを略して鉄板ともいう(例えば、ビートたけしの定番ギャグであれば「たけしの鉄板」という)。
※鉄板はギャンブラー(主に競輪競馬、ボート)の間で、昭和時代(中後期)には既に使われていた言葉ですが、お笑い芸人を通じて一般(主に若者)にも広く浸透した言葉ということで、芸人から広まった年、2006年の俗語と設定しています。
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 けっこう昔からあった言葉が、最近になって一般に広く使われはじめたようだ。
 再び相田さんの解説。
「クラマエさん、最近『フツーにかわいい』っていうの聞いたことありませんか?」
「あるよ。若い子がよく使ってるよね」
「それって、どういう意味だと思います?」
「え? 普通程度にかわいいってことじゃないの?」
「そう思いますよね。それが違うらしいんですよ。今使われてる『フツーにかわいい』って『すごくかわいい』って意味なんですって」
「それはぜんぜん理解できんなあ」
「『やばい』が『いい』というのはわかりやすいんですけど、いくらなんでも『フツー』が『すごく』はわかりにくいですよねえ」
 しかし、ほんとに「フツーにかわいい」って「すごくかわいい」って意味で使ってるの? それじゃ「普通程度にかわいい」ってのはどう表現すればいいのかね。