シベリアから帰国


 シベリアから帰国と書くと、なんだか抑留者が帰還したみたいな感じがしますが、シベリア鉄道の旅行から帰国しました。1か月のあいだサイトがメンテできませんで大変申し訳ありませんでした。皆様お元気でしょうか。

 次号の特集の取材でシベリア鉄道に乗ってきたんですけど、乗る前は長い列車旅行なのでかなり退屈かなと覚悟してました。しかし、退屈してるヒマはなかった。多分それは取材だったせいでしょうけど、漫然と列車に乗っていればいいというわけではないので、車窓の風景をメモしたり、写真を撮ったり、はたまた資料を読んだりと、いろいろ多忙な列車旅行になってしまいました。まあ、当然なんですけどね。

 練馬から夜行バスに乗って富山まで行き、船でウラジオストックへ。そこから列車に乗り込んで延々とモスクワを目指したわけです。途中で2箇所下車しましたが。最終目的地は一応フィンランドヘルシンキ。これは1970年代、シベリア鉄道経由でヨーロッパへ渡った旅行者がヘルシンキへ向かったことにならったんですが、その元本となったのが五木寛之の『青年は荒野をめざす (文春文庫)』であるといわれてます。当時の『深夜特急』だったのですね、たぶん。

 しかし、この本を列車の中で読んでみましたが、ホントにこの本を読んでヘルシンキなんか目指すかなと思うような内容だった。いま、海外旅行をする(海外旅行に限りませんが)若い人が「自分探しの旅」というと、よくバカにされますが、なんのことはないこの『青年は荒野をめざす』もやっぱり「自分探し」なんですね。結局、昔から同じことやってんじゃないかと思いました。僕には退屈な小説でしたが、青年時代に読めばもう少し違った印象を持ったかもしれない。

 そういうわけで、シベリア鉄道の詳細は次号の本誌で。


深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)
沢木 耕太郎
新潮社 (1994/03)
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