旅の準備

 インタビューなどでよく聞かれるのが、旅には何か特別なものを持っていくのですかということだ。何かスペシャルなものを持って行っているのではないかという期待感があるようだが、残念ながら特別なものは何もない。しいていえば撮影データを保存するための機材が少しあるぐらいだが、これも写真好きな人には特別なものとはいえないだろう。

 しかし、以前と比べると、最近は持ち物が増える傾向にある。以前は考えたこともなかったが、腰痛用の腰ベルトに湿布薬は欠かせない。3年ぐらい前から必需品になった。今年はさらに新しい薬が加わった。五十肩用の温湿布薬。1カ月ほど前から左肩から腕にかけて鈍い痛みがあるのだ。

 ウィキペディアによれば、五十肩とは、
1. 肩に疼痛(痛み)と運動障害がある。
2. 患者の年齢が40歳以降である。
3. 明らかな原因がない。
 だそうである。私の場合は運動障害というほどではないが、なんでも数カ月かけて悪化していき、原因ははっきりせず、1年から1年半後には自然と治るものであるらしい。ひどいときには手が上がらなくなるというから、それでは仕事にならないので湿布薬を持参せざるをえない。やれやれ。

 2〜3月のポルトガルは日本より少し暖かいらしい。それでも一応冬の装備が必要だ。気ままな旅行なら、冬にわざわざ寒い地域へ行ったりはしないが、取材だからしょうがない。以前なら冬の装備となると、防寒服で荷物がぐっと重くなったものだが、フリースが登場してからかなり助かっている。

 皆さんもご存じのように、最近はますます機能性が上がり、ユニクロの超ヒット製品ヒートテックなどは軽くて薄くて暖かくて、おまけに安いので旅行にはぴったりだ。この前行ったらマイクロフリースなんてものがあって、これもまた軽くて暖かいのに感激して購入した。

 昔、寒いヨーロッパを旅するのに着ていたのは、ウールのピーコートだった。東京でお洒落に着るにはあれでもかまわないが、旅で着るには重くてどうしようもない。ダウンも暖かいが、何といってもかさばる。薄くて軽い冬服の新素材は旅には革命的に便利になった。ありがたいことである。