新燃岳から避難?

 新燃岳の爆発的噴火は現在も続いている。マスコミは連日これを大々的に報道し、宮崎県では高原町で避難勧告まで発令された。対象は北狭野区、南狭野区、花堂区の住民507世帯、1134人だという。

 どうもよくわからない。どうして高原町の住民が避難する必要があるのだろうか。テレビの報道などを見ていると、とにかく新燃岳の周辺はどこもかしこも危険で火砕流とかが流れてくるんじゃないか、とか、火山弾が降ってくるんじゃないかと思われるかもしれない。だから高原町の住民に避難勧告が出たんだろうと思うのが普通だ。

 だが、ちょっと地図をご覧いただきたいのだが、避難勧告が出た高原町の北狭野区、南狭野区、花堂区とは新燃岳から10kmぐらい離れたところになる。普通、火山弾はせいぜい4kmぐらいしか飛ばない。だから気象庁も用心して警戒範囲をこれまでの2kmから4kmへ拡大したのだ。10kmも離れたところから避難していったいなんになるのかがわからない。だって、避難先はそこから2km先の高原町役場あたりですよ。たいした違いはないのではないか。

 マスコミもマスコミで、降灰の激しい都城からの中継では、レポーター、解説の大学の先生とそろってご丁寧にヘルメットを被っている。私の目から見れば、この姿は滑稽きわまるが、このあたりの地理をご存じない方には、こんなところにも火山弾が落ちてくるのだろうかと思われるかもしれない。

 だが、新燃岳から都城までは25km以上の距離がある。まず絶対に火山弾など飛んではこない。ヘルメットなどは一種の演出なのだ。あんなものを被って解説する大学の先生の良識を疑う。都城市民は誰もそんなものは被っていない。

 ところで、前のブログで旅行人山荘は新燃岳から15kmほど離れていると書いたが、これは計算間違いでおよそ7kmだった。訂正します。それでも火山弾が飛んできたり、火砕流が襲ってくることはない。

 霧島の様子を気にしつつ、私はもうすぐ取材に出る。私が心配しても新燃岳の爆発を止められるわけではないので、ポルトガルへ行く。そういうわけで次号の特集はポルトガル

 実は、次号の特集はアルジェリアにほぼ決まっていたのだが、ご存じのようにチュニジアのデモが各地に広がって、エジプトを始め、周辺アラブ諸国はけっこう荒れている。急遽ポルトガルに変更したというわけ。ま、ポルトガルなら財政破綻はあっても、民主化デモはないだろう(たぶん)。