合法麻薬の常習者拡大?

 昨日、ベンガル取材から帰国しました。留守中はいろいろとコメントを下さってありがとうございました。ベンガルの田舎ではネットにつなげることができず、音信不通で申し訳ありませんでした。

 さて、話はぜんぜん変わるが、バングラデシュへ行く前に読んだ新聞記事でこんなのがあった。


日本をむしばむ合法麻薬SAKE、常習者拡大
 オカルト集団オウム真理教で注目された日本で、中毒作用のある飲料SAKEの消費量が年々増え、社会や経済活動をむしばんでいる。同国では合法扱いだが、世界銀行が、オカルト集団の温床となる社会不安を助長するSAKEの撲滅は、日本の安定化に不可欠としている。
 日本人はSAKEの時間になると騒がしくなり、SAKEが騒音の元となり、働く人も手を止める。


 え? こんな記事でたらめじゃんとお思いだろう。すいません。この記事は私の捏造です。でも、こういうことを書かれたら、日本の酒飲みはいかが思われることだろうか。頭に来るだろうねえ。冗談じゃねえ、ほっといてくれと私なら思う。そういう記事がイエメンについて書かれていたのだ。その記事がこれ。


イエメンむしばむ合法麻薬、常習者拡大
 国際テロ組織アル・カーイダ系組織の新たな拠点として注目されるイエメンで、覚醒作用のある葉カートの消費量が年々増え、社会や経済活動をむしばんでいる。
 同国では合法扱いだが、世界銀行などは、テロ組織の温床となる貧困を助長するカートの撲滅は、イエメン安定化に不可欠としている。
 カートはイエメンや東アフリカの高地に自生する低木で、常用すると精神障害を起こす恐れもある。日本や米国では違法だが、イエメンやソマリアでは合法だ。
 カートの時間になると街は静まりかえり、働く人たちも手を止める。世銀によると、小麦や野菜の畑をつぶして高収入を得られるカート栽培に転じる農家が続出し、主食のパンを作る小麦さえ輸入に頼る。栽培増加は、水不足も招いている。(2010年2月7日 読売新聞/福島利之)


 よくもまあこんな記事が書けたもんだと思う。これを読むとまるでカートこそが貧困を生み、テロ組織を生んでいるといわんばかりではないか。そもそも、使用すれば意識が混濁し、常用すれば中毒性があり、それによって一家離散を招くことがあれば、社会復帰さえ困難になることもある強力なドラッグ、酒を合法化している国の人間が、どういう神経でイエメンのカートを、合法麻薬がむしばんでいるなどと批判できるのか。

 日本や米国で違法だが、それが何の基準になるのだ。例えば、酒はサウジアラビアやイエメンでは違法だが、日本や米国では合法だ。それで酒やウイスキーを批判できるはずがない。「主食のパンを作る小麦さえ輸入に頼る」というが、それじゃ日本はどうなんだ。ほとんどの食料を世界から輸入しているのはどこの国だったっけ?

 こういった記事はイエメンのあら探しをして、テロ国家としてのイメージを植え付けようとしているとしか思えない。実に悪意のこもった嫌な記事である。この福島利之ってどういう新聞記者なんだ。