ダッカから

 今、バングラデシュの首都ダッカにいる。バングラデシュも便利になったもので、中級ホテルでもロビーでは無線LANでインターネットを利用できるようになっている。

 たしか12年ぶりのバングラデシュだが、ダッカも少し変化が見られる。インドから輸入されたオートリキシャ、こちらでは「ベビータクシー」と呼ばれていたが、以前はこれが排ガスを撒き散らしながら走り回っていた。数年前に一掃されて、現在はダッカには一台も走っておらず、かわりに天然ガスを燃料とする「CNG」と呼ばれるオートリキシャが走っている。2サイクルエンジンから天然ガスのエンジンに変わって劇的に大気汚染が改善された。

 以前は、排ガスで街が霞み、青白い煙幕の中から車や人が現れてくるという感じだった。鼻の中は真っ黒になるし、気分が悪くなり、風邪を引いたわけでもないのに、咳が出てきたりした。すくなくとも今はそこまで大気汚染はひどくはない。

 そのかわり、車の数がこれまた劇的に増加した。とにかくダッカはどこに行っても渋滞渋滞で、街を横切るのに一苦労だ。以前も渋滞はあったが、これほどひどくはなかった。道路が空くのは、休日の金曜日だけで、観光で回るのはこの日が一番である(ただしオフィス関係は閉まっているが)。

 バングラデシュはかなりの経済発展を遂げたと聞いていた。そのわりにはオールドダッカの一帯は、以前とそれほど変わった感じはしないのだが、ダッカに詳しい人に聞くと、ダッカ市街地は空港の北までどんどん延びて、新しい富裕層はそちらに住んでいるのだそうだ。混み合って身動きの取れないダウンタウンには来ないのだな。ま、どこの都市もそういうふうになっていくんですね。

 冬の日本からやってくると、バングラデシュの暑さはなかなか想像できない。私はここでは不要な衣料品を抱え込んだまま旅しなければならない。それでも、2月はバングラデシュにしては涼しくて旅のしやすい季節である。それでは、また。