タイトルが問題

 うーん、もう1週間が過ぎてしまった。早いねえ。書くことないです。引き続き、本誌の制作に追われているところで、台割り(ページの割り振りのことです)を何度もいじったり、レイアウトをやり直したり、そういうことばかりやっている日々。

 今、悩んでいるのが、この秋に出す予定の私の新刊のタイトルです。内容としては、本誌に掲載したビハールのミティラー画を見に行った話、グジャラートをまわった話、それに加えて全体のおよそ半分を占めるのが、このまえ行ったマディア・プラデーシュ、チャッティスガールの話で、これは書き下ろし。あまり旅行者が行かない田舎ばかりまわり、インド先住民(アーデバシー)のアート──絵画、壁画、レリーフ、真鍮細工などを見てまわった話なのだが、さて、タイトルをどうしたものか。

 本はタイトルの付け方で売れ行きが大きく左右される。タイトルだけで売れる本もあるぐらいだが、例えばベストセラーになった『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』は、まずタイトルの奇抜さで売れた例だろう(内容の良し悪しは読んでないのでわかりません)。売れるのならどんな奇抜なタイトルだろうが喜んでつけるが、奇抜であれば売れるというものでもないし。そもそも奇抜なタイトルを付けるのは非常に苦手なのだ。

 それでまあ、最初は仮タイトルとして、インドの奥に行った旅行記だから『インド奥地紀行』という、おもしろくもなんともないタイトルが思い浮かんだのだが、ここから先が浮かんでこない。昔、『深く、アフリカへ』という本があったのを思い出し、
『深く、インドへ』
 ではどうかと社員にいうと、まったくダメだという。うーん、やっぱりそうか。

 深い、などというのがイカンと思い、旅行者がよく行く場所のちょっと先をまわった旅行記だから、
『その先のインドへ』
 とJR東日本のコピーのようなタイトルが思い浮かび、私の敬愛するM師に相談してみると、そんなものはパロディにもなっていない、インパクトもない、ぜんぜんダメだと一蹴される。うーん、そうですか。

『その先のインドへ』だと、言葉が素直すぎてひっかかりどころがないので、
『ほんの少し先のインドへ』
 ではどうだろうと思ったが、あんまり変わらないかな。奇抜なタイトルなんて全然思い浮かばない!