ようやく『メコンの国』の制作が終了

 本誌の次号、『アジア・カレー大全』を制作し、ようやく『メコンの国第4版』の制作も終わった。さすがに徹夜はできないが、毎日帰宅が午前様で、土曜も日曜もなく作業し続けた。ああ、疲れた。『メコンの国』は最初、去年の秋には出すつもりだったのに、それが暮れにずれて、それでもダメで、今年の2月頃には何とかと思っているうちに、結局GW明けになってしまった。お待ち下さった皆様、申し訳ありませんでした。

 先日出した『シルクロード改訂版』は416ページ、その前の『チベット第4版』も400ページ、今度の『メコンの国第4版』もついに400ページに達した。初版のときはだいたい300ページ程度だったのが、改訂するたびにページが増えていった。正直言って、400ページというのは、制作する側にとってはほとんど限界である。やってもやっても終わらない(なにしろうちは取材以外は何もかも社内制作なので)。

 これが、「ウルトラガイド」のように、200ページ前後だと、全体像がすっきりと頭の中に収まるので、精神的にも肉体的にも楽である。ページが増えると、例えば語句統一ひとつとってもミスをなくすのに多大な苦労をする。語句統一というのは、例えば「ニュー・ロード」と書くか、「ニューロード」と表記するか、どちらかに統一するということだ。

 そんなものは執筆するときに初めからどちらかに決めておけば簡単じゃんとお思いになるかもしれないが、複数の執筆者がいる場合や、あるいは単独の執筆者でも、そのときの気分で書いたりするので、最初から統一するというのはなかなか難しいのである。しかし、語句統一がきちんとされていない本というのは業界ではかなり見苦しいものとみなされている(たぶん)。

 というわけで、自宅と会社を往復するだけの毎日で、世間の話題はラジオとネットでニュースを聴くだけだったので、書くこともないのだが、先日、取り次ぎに『アジア・カレー大全』の見本を持っていったら、珍しく「これは売れそうですね」とほめられた。

 取り次ぎというのは、書店に本を配本するディストリビューターのことで、新刊ができたら、まず取り次ぎに見本を持っていき、どれぐらいの部数を書店に配ってもらえるかを相談する。取り次ぎが売れそうだと判断すればたくさん配ってもらえるし、イマイチだと思うとあまり配ってもらえない。

 読者には、おまえのところの本は書店に全然置いてないじゃないかとよく怒られるが、そのようなわけで、置きたくても置けないという事情もあるし、まあ、取り次ぎの判断が非情で間違っているというわけではなく、たくさん刷って全国に数多くばらまいたところで、返本が多くなるだけなので、しょうがないのである。

 それが、今回の本は、売れそうだとほめられた。配本数も、もしかしたら増えるかもしれない。うちの場合、こういうことは滅多にないのである。「日本初のガイドブックです」と自慢しても、「そうでしょうねえ、アッサムってどこにあるんですか?」といわれるし(無理もないか)、旅行人ノートの第1弾でチベットを出したときも、「さすがに旅行人さんは、シリーズの1冊目がチベットですか。すごいですねえ」と妙な感心のされ方をした。私としては、チベットというのはメジャーな観光地だと思っていたのだが、普通はシリーズ1冊目だったら、フランスとかイタリアとか超メジャーな場所を出すもんだといわれた。だって、そういうところをうちが出したって、売れるわけないもんね。

 というわけで、『メコンの国第4版』は5月11日に出ますので、よろしくお願いします。さて、今年上半期の大きな山をやっとのことで越え、次は下半期の山にとりかからなければならない。今年はこのあと、予定では4〜5冊もつくるはずなのだ。しかしねえ、無理だよねえ、いくらなんでも。