役人のための高層ビル

 僕が鹿児島県人であることを知っている前川健一さんが、こんなバカな話があるよとメールをくれた。なになに。

 鹿児島県内で最も高いビルである県庁舎周辺は、各種規制があってなかなか土地が売れなかった。そこで、規制を緩和したところ、マンション建設用地として、県庁舎のすぐ隣りの土地が売れた。
 このマンションが17階建ての庁舎を抜く24階建てで、県内最高峰の地位が奪われるだけではなく、そのマンションが建つと、庁舎から桜島の眺望がふさがれることになってしまうのだ。
「庁舎から鹿児島のシンボル桜島が見えるようにするのは、県民に対する義務です」と知事。
 そこで、県は10億円でマンション用地で買収することを決定。県民はこの財政難のときにそんなことをやってる場合かと批判している。

 目を覆いたくなるほどひどい話ですねえ。これを報じたのは地元の「南日本新聞」である。その記事はここに。http://373news.com/2000picup/2006/02/picup_20060217_1.htm
 この記事によれば、県財産管理課の言い分とは、こういうことだそうだ。
「県財政は苦しいが、利用計画のない土地は処分し、必要な土地は購入する。高層マンションが建てば、県庁18階の展望ロビーからの眺望が悪くなってしまう。県民のことを考えると土地を取得した方が良いと判断した」なんだそうな。

 高層マンションが建てば、そうなる可能性があることは販売する前から予想できそうなもんだが、それができないところが鹿児島県役人の頭の悪さであるとともに、あわてて「県民のためだ」などと見苦しい言い訳をするところが傲慢そのものである。


 もっとも、こういう話は鹿児島だけにとどまらない。あの丹下健三が建てた東京都のご立派なゴシック風庁舎は総工費1570億円の巨費が投入された。だが、それからわずか15年、なんと間抜けなことに雨漏りがするらしい。修理費に1000億円かかるので、それだったら建て直した方がいいんじゃないかという声さえあがっているそうだが、そういうのって欠陥建築というんじゃないの?