「旅」という名の女性誌

 またまたご無沙汰していてすいません。次号の制作に追われてホントにヒマがなかった。まだやらなくてはならないことがいろいろ残っているのだが、とりあえず書きたいこともいろいろあるので、当欄を更新することにした。

 またもや南アジアに大地震が起きてしまった。今のところ死者4万人だそうだ。ご冥福をお祈りします。地震そのものはふせげるものではないので、運としかいいようがないが、倒壊した建物を見ると、少しの地震でも倒れそうな建物だったことがわかる。というか、テレビで見なくたって、実際に旅行したときに、地震があったらダメだろうなといつも感じることである。地震に強い建物を造るべきだとテレビのコメンテーターはおっしゃってたけど、そんなことはわかっていても、その金はどこにある?

 さて、噂には聞いていたが、新潮社の「旅」が、ホントに女性誌になってしまった。「『旅』という名の女性誌」だそうだ。日本の旅行雑誌の草分けが事実上消滅したわけだが、旅雑誌そのものが売れないのか、あるいは「旅」が売れない内容だったのか。

 その一方、普通の女性誌がどんどん旅雑誌化していることを知った。ずいぶん前からそうだったのだが、例えば「FIGARO japon」(阪急コミニュケーションズ)なんかは10/5号が「ローマ・ミラノ全マップ」という特集で、ローマ、ミラノのショッピング情報を満載。税込み680円で、とじ込み付録に地図帳(店の場所がびっしりと掲載されている)まである。もちろんフルカラーで、どこからどこまでが本文で広告なのか区別がつけにくいのが僕には難点だが、有名ブランドの美しい写真なので読者には歓迎されるかもしれない。編集者としてはこれほど広告が入るのはうらやましい限りです。

 この雑誌は隔週刊だが、バックナンバーを見ると、前号が「ロマンティック・ベルリン案内」で、過去12冊のうち旅特集が半分を占める。つまり旅特集号は月刊ペースなのだ。すごい。ということは、旅特集は売れているということではないか。「愛の島シチリア」なんて特集は、うちではマイナーすぎてとてもできない(笑)。文藝春秋の「クレア」だって「クレア・トラベラー」という別冊を出して、金と手間のかかった雑誌を作り続けているが、つまりこうやって作れば旅雑誌だって売れるということのようだ。

 ということは、新潮社の「旅」も、もともと旅雑誌だったのをやめて、いったん女性雑誌にし、そこで旅特集をやれば(そのうえ金をかければ)売れるということになる。しかし誌名が「旅」だから、旅雑誌ではなく女性雑誌だと名乗るのはたいへんだ。だから「『旅』という名の女性誌」とわざわざいわなければならなかった、ということになるんだろう。「足袋という名の女性誌」ならわかりやすいんだがな(わかりやすくないか)。

 女性誌と名乗った瞬間に男性読者は離れてしまうのだから、それだったら初めから「旅」なんて誌名を捨てて新女性雑誌を創刊したほうがよほどインパクトもあるし、やりやすいんじゃないかと部外者は思うが、おまえみたいな売れない零細出版社の編集者に言われるまでもなく、そんなことはわかってるよ、と言われそうですね。はい、すいません。