『ウはウミウシのウ』
宮田珠己さんの新刊『ウはウミウシのウ』(小学館)を読む。誤解を与える表現だが、これほど無内容の本も珍しいだろう。これは決してけなしているのではない。普通、どんな人が書いても、単行本1冊分の原稿を書けば、少しは何か言いたいこと、主張したいことがあるものだ。それが意図的にいっさい排除してあるのだ。
そうすると、何もない本になるのが普通なのだが、それが読んでいて面白いのだから宮田さんはすごいと思う。逆に言うと、旅行記の多くが主張するようなこと、あるいは旅行記に書きがちなことがいかにつまらないかをこの本が証明しているような気がしてくる。
正直言って、本格的旅行記を読もうと思ってこの本を買ったりすると、当てが外れて腹を立てるかもしれないし、感動的な話を求める人も、本を食いちぎるかもしれない。そんな本ではないのだ。しかし、ひととき無条件に笑って過ごしたいとお思いの方には、こんな本もあるよとおすすめしたい。1300円で損はしない。
ウはウミウシのウ―シュノーケル偏愛旅行記
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その後、白水社のUブックス・シリーズに入りました。
ウはウミウシのウ―シュノーケル偏愛旅行記 (白水Uブックス 1092)
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