ツイッターとフェイスブック

 ヒマだ。

 本誌をやめ、とりあえず次の単行本まで間があるし、今やらなければならないことは何もない。まったく締め切りがないのだ。こんなことはいったい何年ぶりだろう。もちろん旅行しているときは締め切りなどないのだが、取材ではない締め切りのない旅行など20年していない。

 旅行期間を除けば、働き始めて以来、締め切りのない生活などずっとなかった。大学生の頃だって、毎週ある漫研の例会のためにマンガを描いていたから、これだって締め切りがあったいえばあった。

 とすると、高校生までなかったことになるが、高校生の頃はいつもテスト、テストの日々だったので、大学生の頃よりよほど忙しかった。つまり、こんなにヒマなのは(旅行期間を除けば)ほとんど生涯初めてのことなのだ。すばらしい!

 そういうわけで、今はせっせとツイッターでつぶやいたり、フェイスブックに取り組んだりしている。私はこういうのにはかなり疎いし、やりたいとは思っていなかったのだが、最初にツイッターを開設したのは、あの3・11がきっかけだった。私は地震当日、日本にいなかったので、あとから聞いたのだが、地震発生のときは電話はもちろん携帯電話もメールもつながらなかったという。最もつながる確率が高かったのがツイッターだったと聞いたので、緊急連絡用に登録したのだ。もちろん同時に携帯端末も買った。

 で、しばらくはそれでほっぱらかしだった。忙しかったのと、最初からあまり興味を持てなかったからだ。だが、登録しただけだと、いざというときに使い方を忘れて使い物にならない。本誌が休刊になったのを契機に、読者との交信手段を増やした方がいいという考えもあって、ツイッターでつぶやき始めることにしたのだ。

 一カ月ほどツイッターをやってみてわかったことがある。インターネットのサイトでよく見る「t」という青いボタンは、ツイッターのことだったんですね。今ごろ気がついたのか? と思われることだろうが、知らない人には何のことかわからないんですよ。それで、私のブログにもこのマークを付けた。

 ツイッターは140文字しかつぶやけないが、実は画像や動画も添付できたりすることも初めて知った。けっこう機能性が高いのだ。リツィートされることで、自分をフォローしている人以外にもどしどし広がる可能性があるので、ある意味で孤立したブログよりも外に開かれている。

 ツイッターボタンの横によくあるのが、「f」ボタン。皆様もすでによくご存知のフェイスブックだ。これもまた謎の存在だったが、ヒマなので登録してみることにした。すでにご存知の方も多いと思うので、私が説明するのも何なんですが、こっちのほうが文字数制限がないという意味ではブログに近いですね。ブログとツイッターを合わせたような感じで、ネットのいろんなところに付いている「いいね」ボタンを押すと、フェイスブックの自分のページに貼り付けられるようになっている。それを、自分とつながっている友人たちに紹介できるのだ。もちろん普通のブログのように自分の文章や写真も発表できる。

 ブログはネットの中に独立した存在で、ある意味で偶然そこにたどりつかないと読むことはできないが、ツイッターフェイスブックは、そこに参加している人々が次々に紹介することで、どんどん広がっていく可能性を持っている。友だちの友だちが自分の記事を読む可能性があるわけで、またその友だちが、と14人も続けば、世界中の人が読む可能性があるのである(昔、鶴瓶がカボ・ベルデで友人を紹介してもらい、その友人に次の友人を紹介してもらうという番組をやっていたが、なんと14人目で日本の友人までたどりついたのですよ)。

 逆にフェイスブックは、ハーバード大学のエリートたちが自分たちだけが楽しめるような排他的なサイトを作ろうとしたことから始まっていると、映画『ソーシャル・ネットワーク』ではいっていた。友人にしか見せないという意味では、排他的な面も併せ持っている。原則的に本名を名乗ってコメントすることになっているから、ネットの掲示板のように匿名で罵詈雑言を浴びせる炎上は少ないのだろう。個人情報をすべてフェイスブックに委ねるのはいかがなものかという批判もある(実際にはすべての個人情報を登録する必要はない)。

 私は、基本的に匿名でのやりとりを好んでいないので、フェイスブックの方がやりやすい。匿名で何をいわれても、まともに取り合う気にはなれないのだ。だが、逆に友人だけが集まるようなサイトでは、相手を気まずくさせるような批判はやりにくいだろうと思う。どちらも一長一短だが、原則としてはフェイスブックの方がフェアのような気がする。まあ、よかったらフェイスブックのほうも一度のぞいてみて下さい。

 明日から、しばらくネットが思うようにできないところへ行くので、ブログが更新できないと思います。ご了解下さい。たぶん2週間後ぐらいに再開できると思います。