空き家探し

 先日、友人の貸家を探しに、山梨の山の村を訪ねた。
 そのひとつ、10件ほどの集落は今は無人になっていて、墓だけが真新しかった。最後の住民が引っ越してまだ間もないのだろう。数軒の家はまだ状態がよく、すぐにでも住めそうな雰囲気だったが、周辺の方の話によれば、冬は除雪車も入らず、雪で行き来がまったくできなくなるらしい。眺めのいい場所だったが、雪で孤立する場所には住めそうもない。
 他にも空き家をあちこち当たってみたが、なかなか貸してくれる家はない。誰かが住んだほうが家にもいいのは家主もわかっているのだが、それが簡単ではないらしい。
 家主が亡くなっている場合、相続権を持つ人が何人もいる。それが日本中に散らばっていることもあり、貸すとなると小さいながらも利益が発生するので、そういった人々の了解を得なければならないのだ。わずかな貸し賃のために、そんなめんどくさいことは誰もやりたがらない。当然だ。そして家に残された荷物を誰がどう処分するのかも決まらない。勝手に処分はできないのだ。
 そういえば、福島でも地震の後の復興のために、壊れた家をなかなか撤去できずに困っている地方自治体があった。役場で家の相続人を調べ上げ、数年かけて日本中の相続人からハンコをもらったといっていた。そういう問題が日本中で発生しているのだ。
 だから、人に貸すのをやめて、お盆、あるいは月命日の墓参りに寝泊まりするのに、今も少しだけ使っているという人も多かった。そういう家はよく手入れされている。
 公共機関の空き家バンクに登録して売却・賃貸ができる家は、まだ幸運な方だったということが初めてわかった。