ポルトガルが財政破綻その2

 ポルトガル財政問題に進捗があった。EUIMFが総額約9兆円の支援を決定したのだ。これで来る6月15日に迫った49億ユーロの国債償還が可能になり、財政破綻はとりあえず免れることになったわけで、とにかく一応めでたしである。ポルトガル特集号を出した途端に財政破綻されたらたまらんからなあ、って、そういう問題じゃないけど。

 5月17日付けの朝日新聞で、財政難のポルトガルについての記事が掲載された。それによれば、ポルトガルは1986年にEUの前身であるECに加盟し、ヨーロッパからの援助資金でインフラを整え、ヨーロッパ企業の工場を誘致して輸出を増やすつもりだった。これによってポルトガルでは道路整備ががんがん進んだものの、産業の育成に失敗し、結局「道路と借金だけが残った」という。

 私もポルトガルを旅して、財政破綻といわれながら、立派な高速道路が国中を駆けめぐっていて、しかもまだ建設中であることに驚いた。財政は破綻寸前でも、さすがにヨーロッパの国は違うもんだなと感心していたのだが、こういう道路はヨーロッパの援助で建設されていたのだ。このような公共事業は「手っ取り早い景気対策」であり、政府は無計画にどしどし道路を造り、立派な高速道路はいつも閑散としているありさまである。なんだか、ついこの前まで同じ話を日本でもしていた気がするね。


バスの中から撮影したポルトガルの高速道路


 ご存知のように、現在ユーロは115円前後を推移している。アメリカドルは81円前後。依然として円高が続いたままだ。欧米諸国が今の日本よりも危機的状況にあるのかどうか、私にはもちろんわかりえないことだが、前にも書いたように、ギリシャアイルランドポルトガルの財政が破綻すれば、これらの国に巨額の投資を行い、国債を抱え込んでいる他の国にも危機が及ぶ。特に、今はスペインの危機が叫ばれていて、スペインが行っている海外融資の80%はポルトガルなので、ポルトガルがデフォルトなんかになったらスペインも共倒れになる。スペインはEUでもGDP第5位の経済大国だ。これが破綻したら、その衝撃は計り知れないといわれている。

 この前ニュースを見ていたら、アメリカでも理解不能なことが起きていた。アメリカも巨額の財政赤字を抱えていて、毎年、その借金を返さなければならないわけだが、なんと、共和党が議会で拒否したので、そのための国債を発行できないことになっているという。最悪の場合はアメリカがデフォルトに陥るとニュースは言っていたが、そんなアホな。世界最大の経済大国アメリカが、共和党の反対でデフォルトなんかになったら、共和党の連中は政治生命を失う(どころか世界はパニックに陥る)。国債を発行させてやるから、ああしろこうしろという共和党の条件闘争に決まっている(などと素人の私が言うのもなんですが)。

 ポルトガル、スペインとドミノ倒しになったら、ヨーロッパ経済はとんでもないことになる。そうならないことを切に願う。

 ところで、6月4日(土)に、東京江戸川区小松川図書館で「ガイドブックではわからないインドの魅力」と題して話をすることになりました。区民でなくても参加できるそうなので、お近くの方はどうぞ。定員は50人だそうです。お問い合わせは小松川図書館(TEL.03-3684-6381)までどうぞ。