藻で石油を作ろう!

 この前『辺境生物探訪記 生命の本質を求めて』(長沼毅、藤崎慎吾、光文社新書)という本を読んでいたら、地中には石油を作り出す藻があると書いてあった。地中の中に生息する菌類は膨大な種類があると推測されているが(重さでいうと地上の生物よりも多いらしい)、実はほとんどわかっておらず、研究が始まったのも比較的近年になってからのことだという。

 石油は昔の有機生物の死骸が長年のあいだに化学変化してできたものだと学校では習うし、私も当然そうだと思っていた。しかし、それだけではなく、この本にあるように地中の藻類が石油を産み出す方法もあるのだ。これだけではない。調べてみると「石油無機成因説」という理論もあり、これによれば石油は地底の奥底から湧いて出るものなんだそうだ。1870年にロシアの学者が唱えた説で、旧東側諸国では「定説」だったが、旧西側諸国の「定説」と異なったために無視されたらしい。

 私は西側諸国の「定説」は、真の定説だと信じて疑ったことがなかったが、石油の出来方に3つも説があるとはまったく知らなかった。ショックである。そのショックに、さらに追い打ちをかける報道があった。見た方も多いだろう。これです。

生産能力10倍 「石油」つくる藻類、日本で有望株発見
http://www.asahi.com/eco/TKY201012140212.html

 なんと、このニュースによれば、従来より油の生産能力が10倍以上も高い新種の藻類「オーランチオキトリウム」が発見されたというのだ。従来よりも10倍高いということは、上の『辺境生物探訪記』に書かれているものよりすごいということだろう。

 しかも、このオーランチオキトリウムを深さ1メートルのプールで培養すれば面積1ヘクタールあたり年間約1万トン作り出せ、約2万ヘクタールにすれば、日本の石油輸入量に匹敵する生産量になるというのだ。信じられない。本当かこの話は。「大規模なプラントで大量培養すれば、自動車の燃料用に1リットル50円以下で供給できるようになるだろう」という。この話が本当に本当だったら、革命的なことではないか。これでエネルギー問題は一気に解決されたといっても過言ではない。

 2万ヘクタールといえば2億平方メートル。100メートル四方のプールを2万個作ればいい。各都道府県に400個ぐらい作ればいいだけだ。簡単な話ではないか。なんで民主党はこれに税金をつぎこまないのだ。プール1個の建設に1000万円かかっても、たった2000億円で日本のエネルギー問題が解決しちゃうんだぞ。兼業農家に金をばらまいてる場合か。まるで宝くじが当たったような気分だが、画期的新発見としてもっと世間で騒がれてもいいはずだし、このせいで石油価格の暴落がそろそろ始まってもいいはずだが、世間はとくに騒いでいないですねえ。なんで?