暑いぞ!練馬

 暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。熱中症で毎年20人前後の方がなくなっているそうだが、今年の暑さは特別なようで、先月17日の梅雨明け以降から今月16日までの1カ月間に熱中症で亡くなった人は東京23区で100人に達し、過去最悪となったそうだ。

 で、ニュースを見ていると、「東京練馬区では最高気温が38度に達しました」などと、いつも練馬が引っ張り出されてくる。こういう記事だ。
猛暑:3度目ピーク 東京・練馬38.1度(毎日新聞
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20100817ddm001040014000c.html
 気象庁によると、16日の各地の最高気温は群馬県館林市、伊勢崎市38.2度▽東京都練馬区、埼玉県越谷市38.1度−−など。東京都心も今年最高タイの36.3度を観測し、2日連続で猛暑日となった。関東地方は南から暖かく湿った空気が流れ込みやすかったため、特に蒸し暑かった。

 私はこれが不思議でならなかった。なんで練馬をいつも引き合いに出すのか。ほんとに東京23区でいちばん暑いのは練馬なのか。かつて、練馬区長はその区報で「練馬は東京の軽井沢と呼ばれています」といったことがある。どういう根拠かは不明だが、あれはでたらめだったのか。

 私がまず疑問に思ったのは、そもそも東京23区で練馬以外に気温を観測しているのかということである。そんなことは調べればすぐにわかる。東京23区でアメダスが設置されているのは、練馬の他に、東京、世田谷、江戸川臨海、羽田だった。つまり、この5カ所の中で練馬が最高気温をたたき出すと、東京で最も暑いといっては練馬が引っ張り出されてくるのだが、2008年のデータを観ると、だいたい練馬がいちばん暑いのだった。

 確かに、海沿いの江戸川臨海や羽田より暑いのは否定できない。しかし、平日の昼間の東京都心のビル街より練馬の方が暑いというのはいまひとつ納得いかない。私などは、新宿なんかに出かけて大泉学園に帰ってくると、大泉学園の方がいくぶん涼しく感じるんだがなあ。畑も多いし(練馬は23区の中で最も農作地が多い)。

 ところが、「日刊ゲンダイ」に次のような記事が出た。

猛暑日続く東京だが…練馬区だけ異常にクソ暑いのはなぜだ
http://news.biglobe.ne.jp/politics/933/gen_100727_9336126518.html
 東京都心との最高気温の差は、常に2度以上はある。過去30年の間でグングン気温が上昇しているのだ。どうして、練馬区がこんなにクソ暑くなったのか。ヒートアイランド研究の権威で、首都大学東京名誉教授の三上岳彦氏(都市気候・気候変動学)は、こう言う。
練馬区は、池袋や新宿など副都心部の北西部に位置する。7〜9月に東京湾から都心に向けて吹く海風のちょうど風下にあたります。副都心のビル群は、冷房施設やオフィス機器など熱や水蒸気の発生源。東京湾からの海風が副都心を通過すると、上空の温度は猛烈な勢いで上昇します。その熱気が練馬区に流れてくることで、激しく気温を引き上げるわけです」

 なんと、新宿や池袋の熱気が海風で練馬に運ばれてしまうのか。そういえば、多治見や館林も、名古屋や関東の熱気が吹き寄せられて暑くなるのだといっていたが、練馬にも同じことが起きていたのか。東京の軽井沢ってのはやっぱり無理があるねえ。

 ところで、前の記事で日経新聞から取材が来た話をしましたが、明日(8月18日)に掲載されるそうです。読める機会がある方は、最終ページの文化欄をご注目ください。