さらばガイドブック!って時代になっちゃったかな

 このところ毎日、次に出る予定の『熱帯雨林を歩く』(上島善之著・2010年4月発売予定)の地図をつくっている。世界中にある熱帯雨林の場所の地図なので、行ったところもない場所を模索しながら作っているわけだが、大活躍しているのがグーグル・マップだ。昔は、地図を作っていて、そこがどうなっているかまったく確認できなかったのに、今やグーグル・マップのおかげで、熱帯雨林の上空写真をばっちり見ることができ、地形の確認ができる。これはすごいことだ。

 以前、ある町の印刷された地図を見ていて、○印がつく場所があった。位置を示す●でもなく、唐突に○が置かれていて、いったいこれは何なのだろうと不思議だった。それで、グーグル・マップの航空写真図でその町の○印の地点を見てみたら、なんとそれは巨大な石油タンクだった。

 もっと実用的な意味では、空港の位置を確認できるのは非常に助かる。場所によってはあまり大きくズームアップできないところもあり、滑走路が確認できないことも多いが、空港マークが地図上に出てくるので一応確認できる。

 今度の本では、日頃はまず見ることのない熱帯雨林の航空写真をよく眺めている。例えば南米アマゾン川の河畔にマナウスという大きな町がある。本書に「黄褐色の川と黒い川の合流 合流した二つの川は、比重と流速が違うため、10km以上も混じり合うことなく平行して流れている」と書いてあるのだが、マナウスをグーグルで見てみると、おお、本当にアマゾン川の色が見事に分かれているのが確認できるではないか。すばらしいですねえ。

 岡崎大五氏は、今度出た小学館の地図帳が気に入っているとブログに書いていたが、私もいい地図帳が欲しかったのでネットでこの地図帳のサンプル地図を見てみた。見本の地図はフランスだったのであまり参考にならなかったが、ざっと見る限り、悪くはないけど値段の割りには密度が低い感じがした。同じ場所をグーグルで見ると、比較にならないほど多くの町や村が現れ、そのうえ航空写真も等高線地図も出てくるし、ちょっと名の知れたところなら、そのままグーグルで検索すれば解説まで読めるわけだから勝負にならない。

 これが印刷媒体の限界だと思うと同時に、これはもうガイドブックも近い将来とどめを刺されるに違いないと感じた。すでにあるポータブルな端末にネットが受信できるようになればガイドブックは不要だろう。インフラの発達した場所なら、すでに十分に旅できているのかもしれない。携帯電話をほとんど使ったことがないのでよく知らないが、iPhoneなどのスマートフォンを使ってネットとつながっていれば、メジャーな町の情報など、地図はもちろん鉄道の時刻からチケットの予約まで、何から何まで手に入るんでしょ? 迷ったらナビまでやってくれるっていうんだし。

 さらばガイドブック!って時代になっちゃったかな。