『自衛隊に入ろう』は放送禁止歌なのか?


 ちょっと遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。年賀状をたくさんいただき、大変ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。

 今年の寒さは尋常ではなく、どこが温暖化なのだ! と言いたくなるほどでしたが、昨日の新聞を見ると、インドでも寒波で多くの路上生活者が亡くなっているそうで。冬にインドに行ったことがある方はおわかりでしょうが、常夏のインドなんてのは間違いで、北インドの冬は真剣に寒いんですね。

 さて、年末に朝日新聞(05/12/31)を読んでいて気になったことが一つ。新聞ネタというと、いつも朝日新聞になってしまうのだが、これは単に私が朝日新聞しか読んでいないからで他意はありません。それで、気になった記事というのは天声人語ですね。

 書いてある内容は、故高田渡の行きつけの飲み屋に行ってちょっと飲みながら、高田渡を偲ぶというもので、特に当たり障りのないものなんだが、気になったのは、高田渡の『自衛隊に入ろう』が放送禁止になったと書かれていることだ。簡単にこう書かれている。

──「自衛隊に入ろう」は1967年、高田さんが都立高の定時制に通う頃に作られた。このデビュー曲が放送禁止になった。

 以前当欄(03/12/19)でも書いたが、『自衛隊に入ろう』という歌は放送禁止になどなっていない。詳しくは森達也放送禁止歌』(知恵の森文庫/光文社/648円)を読んでいただくとわかるが、『自衛隊に入ろう』だけでなく、そもそも放送禁止になった歌などなかったというのが、この本が明らかにしたことだった。

 僕だってこの本を(かなり遅れて)読むまでは、こういった70年代フォークの数々が放送禁止になったと信じ切っていたので、あまり偉そうなことはいえないのだが、少なくとも、森達也の本が出てベストセラーになり、のちに文庫になってたくさん売れていることを考えると、天声人語という大コラムをお書きになるような新聞記者が、あえて放送禁止になったと書くのは、読んでいないのか、無視しているのか、あるいは放送禁止になった事実を突き止めているのか。

 ま、フツーに考えれば、読んでいないんだろうと思うが、「○○という歌は放送禁止になった」と今書くことは、新聞記者としてかなりの失態だと思わざるを得ない。そうやって、影響力の大きなコラムで書くと、天声人語でこう言っているのだから、『自衛隊に入ろう』は放送禁止になったのだと信じる人は大勢いるだろう。それが、放送禁止というありもしない規則を作りだし、自主規制につながっていくことになる。それこそが問題なのだと森達也は書いているのだ。

 天声人語さん、ぜひ森達也さんの『放送禁止歌』をお読み下さい。自省を込めて申し上げます。


放送禁止歌 (知恵の森文庫)
森 達也
知恵の森 (2003/06/06)
売り上げランキング: 11748