デジタルカメラ

 前にも書いたデジタルカメラを購入した。ニコン製でレンズを合わせて約12万円である。それにフラッシュメモリー、ストレージなどを買い足して、全部で15万円ぐらいだった。

 ストレージというのは、フラッシュメモリーが画像データでいっぱいになったときに、そのデータを移し替えるための携帯用ハードディスクである。僕のはいちばん安いのを買ったので容量が20ギガしかないが、それでもJPEG最高画質で撮影した画像がおよそ6000枚ほど記録できる。フィルムでいえば166本分だ。もちろん記録した画像データをCDに焼いたら、それを消去して何度でも使うことができる。

 デジタルカメラの導入はなんといってもコストの問題が大きいのだけれど、例えばこれまでのポジ・フィルムで撮影した場合、どれぐらいのコストがかかるかというと、36枚撮りのフィルム代と現像費用で1本がおよそ1500円である。つまり100本分のフィルム代+現像代でデジカメ一式が買えるということになる。100本といえば3600枚。2週間程度の取材で(デジカメだったら)1500枚ぐらい撮影するので、だいたい2回の取材で元が取れることになる。圧倒的なコストパフォーマンスである。

 前述のストレージに画像データを撮りためられることになれば、撮影枚数はほぼ無限といってよい。問題は電池の消耗と、ファラッシュメモリーのストックだけだ。それで、撮らないと損だとばかりに撮りまくってしまう。今まではワンカットしか撮らなかったようなものを、タテ位置ヨコ位置アップにロングと何種類も撮るようになり、気がつくと1000枚を超える。フィルムだったらこんなに撮らないよ、という言葉はデジカメを使うカメラマンがよく言うセリフだが、まったく同感。

 問題はその、撮りすぎた画像データの整理である。フィルムのように、現像またはプリントされたものを眺めるわけにはいかないから、コンピューターに移された画像データをチェックして、何をどこで撮影したものであるかを記録しておかなければならない。撮影枚数が膨大に増えているので、無駄なカットも多いし、あとで使いやすい状態にするのに手間と時間がかかるのである。だから、最近はホテルで夜に撮影済みのデータを見て、撮影番号と撮影内容を記録するのが仕事になった(これをやっておかないとあとで大変なことになるのがわかったのだ)。

 プロの写真家(または写真にうるさい方々)にいわせれば、デジタル画像とフィルム画像は一目で識別できるという(僕にでも識別できるものはあるが)。したがって画質の問題を別にすればの話だが、メールで送れ、管理も容易で、低コスト。仕事に使うには最高である。だが、それでも、フィルムカメラの方が撮影する楽しみがより大きいと僕は感じているが、ビデオに押されて8ミリが衰退し、フィルム代や現像費用も高くなっていったように、フィルムカメラも同じ運命にあるのだろうか?


◆おまけ写真◆
下の写真は、香港を走っているバスですが、車体に描かれているのは、鹿児島県の観光広告です。その広告に写っている露天風呂は、なんと旅行人山荘の露天風呂なのでした。今年の夏頃に走っていたようです。