MANGA

 先日の朝日新聞(3/14夕刊)に、アニメ観光に日本にやってくるアメリカ人のパックツアーが人気だとあった。それに応えてアニメを地域観光振興の目玉にしようという自治体も出始めているそうな。日本の少女漫画誌アメリカで発刊されたなどといったニュースも最近聞いたが、アニメ文化の世界進出は本当にめざましいものがあるようだ。

 ところで、先日いったメキシコの雑貨屋で、こんな雑誌を見つけた。タイトルは「MANGA」。そのものずばり日本漫画の専門誌である。内容は、漫画本ではなく、日本漫画の紹介・解説になっていて、店の人に聞くと、子どもたちがよく買っていくそうだ。非常にポピュラーであるといっていたが、他の店でも別の漫画誌を見かけたので、メキシコでは数種類の漫画専門誌が出ているようだ。

 買い求めたこの雑誌、中をめくってみてもスペイン語なので理解不能だが、それ以前に、紹介されている日本の漫画も知らない。巻頭特集で取りあげられている「D・N・ANGEL・」って何? その次の「灰羽連盟(Haibane Renmei)」てのもなんだかわからん。

 ネットで「D・N・ANGEL・」を検索してみたら、なんと121000件ヒット! 作者は杉崎ゆきるで1997年から「月刊ASUKA」で連載され、テレビ東京でアニメ化された作品とのことである。続いて「灰羽連盟」を検索すると21900件ヒット。作者が安倍吉俊。これもアニメ化された有名な作品のようだ。知らないのは私のようなオヤジだけなんだろうね。メキシコ人の子どもが知っているのに、日本人の僕が知らない。グローバリゼーションを感じるというか、漫画の世界進出のすごさに感心するというか。

 その店で、僕がしきりに感心していると、店の人が、「こっちに来なさい。もっとおもしろい物を見せてあげる」という。いわれるままについていくと、棚から大きなファイルを取り出して、それをぺらぺらめくって中を見せてくれた。それはカードのファイルだった。よく見るとそれは「幽遊白書」のカードだった。確か子どもたちがこのカードを見せ合って勝負を競う遊びをするんじゃなかったかな。それがメキシコでも流行っているのか?

 店の人は笑いながら「子どもたちにすごく人気があるのよ。ほら、このカードは110ペソ(1100円)もするわ」
「えーっ! なんで?」
「とても珍しくて強いカードなのよ。雑誌にカードの人気ランキングが載っていてね、ほら、これを見て。人気の高いカードはこんなプレミアが付くのよ」
「はあ〜、すごいですねえ。そういえば日本でもプレミアが付いているって話を聞いたことがある」
「これは世界的な現象なのよ」

 しかし、その「幽遊白書」って漫画は読んだことはないが、世界の子どもたちが日本の漫画カードで遊んでいるのかと思うと不思議な気分である。日本の漫画アニメ文化はすごいのだ。