日本対インド戦をインドの安宿で見る

 またずいぶん久しぶりの更新になってしまい、すいません。次号の特集の取材でインドのビハール州、西ベンガル州を旅し、昨夜帰国しました。

 インドといえば、先日カルカッタで行われたワールドカップ予選のインド対日本戦をご覧になった方も多いことだろう。カフェでも書き込みがあったようだが、僕も西ベンガルの田舎町でその試合をテレビで見た。

 北インドの宿でも200〜250ルピー(約500〜600円)ぐらい出すと、冷房はないがテレビぐらいは付くようになった。だいたい衛星放送が入っていて、チャンネル数が恐ろしく多い。そういえば中国でもそうだったが、ざっと30〜50チャンネルぐらいある感じだ。

 ニュース専門チャンネルとか、映画とか、実に多彩で(日本もそうかもしれないが僕は日本で見ていないのでよくわからない)、スポーツ専門チャンネルも3つあった。そして、そのスポーツ専門局のほとんどの時間はクリケットの試合をやっていた。クリケットは少しだけ野球に似ているが、ルールを知らないので退屈なだけだが、インド人は何よりもこのクリケットが好きなようで、「世界で2番目に強い」といばっていた(事実は未確認)。

 それで、そのインド対日本戦だが、前日から英字新聞もスポーツ面で大きく取りあげて、日本は強いが、インドだって昔は勝っていたし、日本が苦戦したオマーンシンガポールにもインドは善戦しているから、勝てないことはない、というような記事が載っていたが、食堂のオッサンなどに、インドは勝てるかと聞くと、笑って「無理だ」と答えていた。一般的には誰もインドが日本に勝てるとは思っていなかったようだ。

 サッカーの試合の前にテレビで行われていたのはインド特有のスポーツ「ガバディ」である。これは鬼ごっこみたいなスポーツなのだが、このインド全国大会決勝戦とサッカーの日本戦がぶつかった。もちろんこの場合テレビ放送はサッカーを優先する。キックオフになるとガバディの放送は打ちきられてサッカー中継になったのだが、ハーフタイムになって中継が再びガバディに変わると、いつまでたってもサッカーに戻らない。ハーフタイムの時間はとっくに過ぎているのに、まだガバディをやっている。さすがにインドはナショナルスポーツの方を優先するのだろうかと思っていたら、1時間近くたってようやくサッカー再開。なんとカルカッタは停電だったんですねえ。日本に帰ってきてそのことを初めて知った。ホントにさすがインドです。

 たまにテレビで、西ベンガル州のサッカー国内リーグの試合をやっているのを見たが、グランドは日本の高校並み。芝生ははげて土が剥き出しででこぼこしているし、もちろん観客なんか全然いないし(そもそも観客席自体がちょっとしかない)、こんな環境でやっているんだから、いくらナショナルチームとはいえ、日本に勝つのは無理だろうという思っていたが、4-0とはいえ、その割には意外にしっかりした試合だったように感じられたが。