クルマの旅

 九州の田舎で法事があったので、フェリーで行き、帰りは九州〜四国〜関西とクルマで旅行してきた。1週間しかなかったので、どこもほとんど1泊しただけで、あとはひたすら走っていた気がする。合計2800キロを走ったが、もちろん免許を取って以来こんなにいっぺんに走ったのは初めてのことだった。

 近頃は無駄な道路を造りすぎているとよくいわれているので、田舎の道路もずいぶんいいんじゃないかと期待した。それはほぼ期待通りだったが、それでも、まだこんな狭い道が国道なのかと驚くような道路もずいぶんある。どんな道路でも舗装だけは完璧だったけど。

 アジアをビンボー旅行するように、日本を格安に旅行するにはどうしたらいいかといえば、だいたい皆さんがやっているような、自転車、バイク、クルマといった自前の交通機関でやるしかない。もちろん自転車が最も安い。宿泊で一番安いのはキャンプ場だろう。田舎に行くと無料のキャンプ場もたくさんあるということを今回知ったが、クルマの中で眠れるなら「道の駅」が無料であることはよく知られている。

 僕は日本をほとんど旅行したことがないので、今回走った四国などもまったく知識がないが、大分県の佐賀関からフェリーに乗って、着いたのが四国側の三崎。ここからちょっと走ると、故・河野兵市さんの生まれ故郷である瀬戸町だ。

 瀬戸町にある道の駅に河野さんの記念碑が建っているというので、そこに立ち寄った。夕暮れでもう薄暗かったが、巨大な発電用の風車が建つその道の駅は、半島を挟む両側の海が見える美しい場所であった。碑には河野さんの足形がかたどってあり、いけてまだ間もない花と飲み物が供えられていた。

 出かける前は、1週間あればかなりあちこち行けるだろうと思っていたが、確かに距離だけは走ったものの、あちこち走っただけという感じで、やっぱり旅をするには時間が必要だなとあらためて感じた。日本もインドも、道の具合も交通機関の便利さもそれぞれ違うけど、かかる時間はそれほど変わらないんですねえ。