大風呂敷展

 名古屋の同朋大学の学園祭にお呼びがかかって、お話をさせていただいた。ついでに、その前日に大阪に立ち寄って、国立民族学博物館みんぱく)へ。僕は会員なので博物館は無料なんだが、肝心の会員証を忘れたので入場料を払うハメになった。が、ここって入場料が420円と破格に安いのであった。

 みんぱくで催されていたのが「世界大風呂敷展」。「せかい・だい・ふろしきてん」と読むのが正しいのだろうが、どうしても「せかい・おおぶろしき・てん」と読んでしまいますね。もちろんそれを意識させてのネーミングだろうが、うまい! 座布団3枚という感じ。

 風呂敷は世界中にあるが、中心となっている地域はやはりアジア、アフリカが多い。ヨーロッパにもあるそうだが、展示は多くなかった。日常的に使用されているものの展示なので、ものすごく高価そうなものはなく、むしろ生活の染みや汚れがこびりついた布がそのまま展示されていて、実に身近な感じがする。


 いちばん驚いたのは、日本の大風呂敷で、よくもまあこんなものが保存してあったものだと感心するぐらいの超ボロ布。172センチ×158センチという大きさの麻布なんだが、薄汚れてぼろぼろになって、あちこちにあて布がしてある。そして中央に斜めに巨大な漢字が3文字。「物綿鉄」(鉄は古体)。意味は不明なんだそうな。製作されたのは明治時代だが、今では当時の資料として非常に重要な一品なんだとか。確かに、こんなボロ布を長く保管しておく人は稀だろうから、貴重になったのもわかる。

 関西から東京に帰ってきた翌日、会社からの帰りに近所で火事があり、消防車や警察が大勢詰めかけていた。で、その翌朝、自転車で会社に向かっていたら、パトカーが。まだ火事の検査でもやっているのかなと思っていたら、僕の方にすっと寄ってきて、「はい、そこの自転車、止まってください」という。「え?」警官が二人降りてきて、にこやかな顔で、「すいませんねえ。このへんでひったくりがあったもので、パトロール中なんですよ。ちょっと免許証を見せていただけますか」

 でも、どうして僕を疑ってるの?「それが、ひったくりにあったおばあさんが、犯人が黒い上着で、頭に何か被っていたということなんで」そういえば、今朝、僕は黒いダッフル付きのハーフコートを着ている。うーむ、しょうがない。もちろん疑いは晴れたが、警官は疑っているわけではないですよと弁明する。疑ってなかったら、何もカバンの中まで見ることないじゃない? いやいや、お勤めお疲れさまです。